国民所得と経済成長との考え方について -マクロ的な視点の考え方・フローとストック-
国民所得と経済成長について考えてみます
・経済は本当に成長しているのか
・個別に企業だけを注目しても、国の経済自体が成長しているかどうかわからない
(理由として、経営が上手くいっていない企業などや、業績ではなく、
生産に力を入れる企業などもあるから)
→そこで、企業ではなく、国の経済がどれくらいのレベルなのかを
数字で表すということを考えた
=それが、国民総生産(GNP)や国民総所得(GNI)などの、指標というものが使われる
・代表的な指標について
・国民総生産(GNP)・・1年間に国民が市場で取引される財やサービスの価値を
どれだけ新しく作ったかを表した指標のこと
→GNPは、それぞれの企業の粗付加価値を合計するとわかる
※粗付加価値・・売上から、他の企業から買った材料や燃料などの金額を
差し引いた数字のこと
※粗付加価値は3種類に分けることができる
・狭義の付加価値・・労働者、株主、企業などの所得を合わせたもの
・減価償却費・・更新投資(古い設備を更新するためにする投資)のためのお金のこと
→減価償却費は固定資本減耗とも言う
・「間接税―補助金」・・政府の収入のこと
→補助金・・政府が企業や個人などに渡す経費のこと
※GNPは、その国の国民が作った価値の金額のため、
海外で働いている日本人が生産したものもGNPに含まれる
・国内総生産(GDP)・・国の中で作られている生産額を合計した指標のこと
→日本の場合を考えると、日本人が海外で作った生産額は
プラスされず、外国人が日本で作った生産額はプラスされる
※GDPは、GNPから、海外からの純所得
(海外から送られてくる所得から海外へ送られる所得をひたもの)を
引くことで計算することができる
・国民総所得(GNI)・・GNPに海外からの所得を足した指標のこと
・国内総所得(GDI)・・個人の消費、企業の消費、政府の消費、輸出による消費を足して、
輸入の消費を差し引いた指標のこと
・国民総支出(GNE)・・国民総生産を支出の面から見た指標のこと
・国内総支出(GDE)・・GNEから、海外から送られてきたお金を差し引いた指標のこと
・国民純生産(NNP)・・GNPから減価償却費を引いた指標のこと
・国民所得(NI)・・GNPから減価償却費を引いて、「間接税―補助金」を足した指標のこと
=これは、狭義の付加価値でもある
※国民所得について
・国民所得について、マクロ(国から見る視点)の視点で見た場合、
生産、支出、分配、の3つの面から見ることができて、
それぞれの面の金額はすべて等しくなるという原則がある
=この原則のことを三面等価の原則という
※ここでの生産、支出、分配は、それぞれ、
生産国民所得、支出国民所得、分配国民所得と言い、
生産の面はGDP、支出の面はGDE、分配の面はGDIで表現することができる
・フローとストックという考え方について
・フローとストックとは・・
・フロー・・個人所得や国民所得、GDPなどのように、一定の期間で作られた生産量のこと
・ストック(国富)・・企業の設備や社会的共通資本などが、
ある時点でどれくらい蓄積されているかを 表示する量のこと
※・そもそも国富とは・・国内にある、再生産ができる有形の資産の総額に、
対外純資産を足したもの
・対外純資産・・対外資産(日本が海外に持っている債権)から
対外負債(海外に対する負債)を差し引いた合計のこと
→新SNA(国連による新勘定基準)という基準の定義だと、
土地や森林なども国富に含まれる
※フローとストックの関係について
→・フローの量が多くても、ストックの量が少ないと、
人々の生活は豊かではないと言われている
・日本の場合は、人々の生活に関連する社会的共通資本を整備することが
必要だと言われている
※フローとストックとGDPの関係について
・GDPは、人々の生活の豊かさをストレートに表示している指標であるとは
限らないと言われている
→ストレートに表示していない理由
・GDPはフローの量だけなので、市場で取引される財やサービスの部分だけで、
福祉の面などを見ていない
・国民経済計算体系(国民の経済を表す指標)は、国によって違うことがあり、
国民経済計算体系を国際基準にしていないから
※日本は1999年に国民経済計算体系を新しくした
→上のようなことから、下のようなことが考えられている
・国民の福祉を表す指標などが必要だと考えられ、国民純福祉(NNW)などの
指標が考えられている
・環境会計の考え方が重要になってきていると言われている
※環境会計・・環境から得られる利益と、環境にかかるコストを
数値化して表現した会計のこと
ポイント
・経済の成長と指標の種類と三面等価の原則などを押さえる
・フローとストックの考え方、特にフローとストックとGDPとのそれぞれの関係を押さえる
・景気の変動についての考え方について押さえる