討議民主主義の重要性
討議民主主義とは、ケルゼンによれば、多元化した社会において絶対性はなく、客観的真理や正義に到達することはできないので、議会主義によって政党を介した国民の代表による議会において討議を重ね、有権者も含めた選好の変容と修正、相違を明確化することで徐々に合意を形成することが重要だとする主張です。近年は人種、宗教、家族形態、ジェンダー等、価値が非常に多元化した社会となっています。このような多元主義の噴出にどう対応するかという点から、ロールズの「規範的正義論」へと回帰していきました。規範的正義論とは、価値の多元化した社会を恣意や専断ではなく、どうやって合理化して一つの社会秩序に編成していくかという、多元主義の合理化構想です。ロールズの規範的正義論としてのリベラリズムは、前述のような多元化状況をむしろ積極的に捉え、多元主義的主張と要求相互の間に了解可能な正義原理の立場から多文化主義をまとめる公共的な秩序空間を作り出そうとしたという点で大きな意義があります。
グローバライゼーション・新自由主義との関係で言えば、80年代以降の新自由主義の潮流は、戦後に福祉国家的合意として成立していた男性稼ぎ手モデルによるトリクルダウン効果を崩し、生活手段を保有した安定した生活者という地位から不安定生活者という地位へと落とし込むことになりました。この点が崩されると、人々の社会連帯と結びつきなどの新たな統合原理を作り上げることは難しいです。こうした中で、社会の紐帯としてどのように統合原理を作り上げるかという解決の糸口としては、①戦後福祉国家をどう建て直すか②多元主義の主張をどうくみ取るか③これらをグローバルにつなげることが重要となります。これら3つを実現するためのシステムとして、討議民主主義が重要な意義を持つのです。
ナショナリズム・ポピュリズムとの関係で言えば、近年の大阪現象がわかりやすい。大阪の「決定できる民主主義」の特徴として、植松は「選挙結果至上主義」「『決定』至上主義」を挙げています。これらの特徴は、ドイツのシュミットの議論と似ています。シュミットは、集団の多元化状況を社会統合の危機として捉え、社会の敵を排除する以外に社会統合はありえない、としたところが大きな特徴となっています。あくまで国民を前提とする主権国家の統一的な意思決定に期待しようとするもので、選挙によって選ばれた指導者であるから、これは民主主義であると主張します。しかし、異質なものは排除する点で多元主義を合理化するものではないので、討議民主主義と対立します。シュミットや大阪の議論は、社会における多元性の契機を認めず、異論を排除する議論であり、その一元化された考え方・価値の中に絶対の真理と正義が客観的に存在するものとみなす一つの規範理論でもあります。しかし、ポピュリズムに対して喝采するだけでは民主主義の根幹である自己統治ができません。自己統治という本当の意味での民主主義を確立するためにも討議民主主義には大きな意義があります。
参考資料
・植松健一「『既得権』と『マネジメント』―憲法政治として診た橋下型ポピュリズム」『労働法律旬報』
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