デンマークと日本の税制比較―1、国民総背番号制

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投稿者:       投稿日時:2013/10/18 11:29      
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 福祉国家の成功例と言われるデンマークについて議論する場合、医療費が無料であることや教育費が無料であるなど、福祉政策が充実しているという点がよく強調されます。しかし、こうした福祉政策が充実している背景には、国民にそれ相応の負担が課せられているということを忘れてはなりません。国民に対して大きな負担を課すためには、一人ひとりの収入状況や資産状況を正確に把握しなければなりません。また、公正を期すために、脱税などの不正が行われることによって制度の信頼が揺らがないよう、常にチェックできるシステムが必要です。そのために導入されているのが国民総背番号制です。

 

 国民総背番号制には、個人登録番号制(CPR)と事業者番号制(CVR)があります。個人登録番号は国民ひとり一人に付与され、この番号一つによって一括管理、運用されています。したがって、この番号がなければ行政サービスはもちろん、銀行口座の開設、車の運転、就職することもできません。日本においては年金や健康保険、運転免許証など、一人の国民が複数の番号を持つ制度となっているので、その違いがよくわかるでしょう。

 

 一方の事業者番号制は、年商5万クローネ(約75万円)以上の取引をする事業者に番号登録を義務付けるものです。取引をするためにはお互いに番号を記載しなければならないので、お金の流れは2つの番号によって常に整合性が求められることになります。こうして脱税することが難しくなり、不正を働きにくい制度設計となっているので、安心して高負担を受け入れることができるように思われます。

 

参考文献

・ケンジ・ステファン・スズキ『消費税25%で世界一幸せな国デンマークの暮らし』角川SSコミュニケーションズ、2010年、102-109頁



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