日本の政治の仕組みについて④ -司法権と裁判所について-
日本の政治の仕組みについて、司法と裁判所を中心に考えてみます
・司法権について
・司法の主な役割・・憲法や法律を解釈して、
「法の支配」(法律や憲法で社会をまとめるという考え方)を行うこと
→このようなことを行うための権利を司法権と言い、
司法権は裁判所にある
・日本では、司法権が国会や行政などによって変わってしまわないように、
司法権を独立させている
※明治憲法にも、少しだけ司法権の独立があり、児島惟謙という人が
裁判長を行った大津事件という事件から司法権の独立が見てとれると言われている
→そこで、日本国憲法では司法権の独立を完璧なものにするために、様々なことを決めた
・決めた内容
・特別裁判所(特別な人や事件を裁判するために、普通の裁判所から
切り離して作られた裁判所のこと)という裁判所を禁止した
※例:行政裁判所、軍法会議、皇室裁判所など
・行政機関が終審裁判所(最高裁判所)での裁判を行う、ということを禁止した
→この2つが決められたことで、司法権は全て裁判所が持つことになった
・裁判官は、「その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ
拘束される」とした
→そこで・・
・裁判官は、自分の仕事が国会、内閣、上の位の裁判所の裁判官の考えなどに
左右されないことを決めた
=このことを裁判官の独立と言う
・裁判官の独立を保障するために、憲法で裁判官の身分の保障を決めた
※身分の保障の例
・心や体に問題が生じて、仕事を行うことができない場合
・国会の弾劾裁判所によってクビにさせられた場合
→この2つ以外では、裁判官はクビにさせられない
・一定の年齢になるまで、身分と給料が保障される
・最高裁判所が2つの権利を持つ
・規則制定権(最高裁判所がいくつかの内容について規則を決める権利のこと)がある
・下級裁判所の裁判官を指名する権利がある
・裁判の仕組みについて
・裁判所には、最高裁判所と下級裁判所(高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所、
簡易裁判所をまとめた呼び方のこと)の2種類がある
※基本は上の2種類だが、2005年4月からは東京高等裁判所というところに、
知的財産高等裁判所という裁判所が作られた
・裁判所の裁判官について
・最高裁判所・・長官(最高裁判所で一番位が高い人のこと)と14人の裁判官がいる
※長官は、内閣が指名して天皇が任命するが、14人の裁判官については、
内閣が任命する
・下級裁判所・・下級裁判所の裁判官は、最高裁判所が作った名簿に合わせて、
内閣が任命する
・国民の権利を認めた上で裁判を行うための仕組みについて
→代表的なものに、三審制、再審制度、公開などがある
・三審制・・同じ内容について、3回まで裁判を受けることができる制度のこと
・再審制度・・判決が決まって裁判が終わった事件について、
何かしらの大きなミスや間違いがあることを理由にして、
判決を取り消して、もう一度裁判をやり直す制度のこと
・裁判は基本的には公開されなければいけない
※裁判は人間の判断によるため、無罪の事件に対して有罪の判決を出してしまう、
という冤罪事件が起こることがある
冤罪事件の例:免田事件、財田川事件、松山事件、梅田事件、島田事件など
・裁判の種類について
・裁判には、民事裁判と刑事裁判の2種類がある
→・民事裁判・・訴えた側(原告)と、訴えられた側(被告)との争いについての裁判のこと
・刑事裁判・・検察官(訴えた側)と、被告人(訴えられた側)や
被告人の弁護人(被告人を弁護する人)の意見を聞いた上で、
被告人をどうするか決める裁判のこと
※特殊な例として、行政裁判がある
・行政裁判・・政府や地方公共団体が行った内容に関して、国民が訴える裁判のこと
民事裁判の一つとして扱われる
・刑事事件について
・刑事事件は、検察官が起訴(被告人をどうするかを裁判で決めることを
求めること)することで裁判になる
・検察官とは
→裁判所に訴えを起こして、原告側に立って被告人と争う人のこと
※検察官は検察庁というところに所属していて、
検察庁は裁判所と関係する形になっている
・検察には、検察審査会という組織がある
※検察審査会・・検察が事件を起訴にしなかった時に、本当に起訴しなくて
よかったのかを判断する組織のこと
・裁判の時に、原告や被告の代理をする人のことを弁護士といい、
被告の代理で検察と争うこともある
→弁護士は弁護士会というところに所属している
・法律に関係する代表的な3種類の仕事(裁判官、検察官、弁護士)をまとめて、
法曹三者という
ポイント
・司法、司法権の独立の役割や内容を押さえる
・裁判の制度、国民の権利を押さえる
・裁判の種類、特に刑事裁判と検察官についてを押さえる