「自由、権利、責任、義務」のそれぞれの関係について
自由、権利、責任、義務について考えてみます
・自由と権利について
→自由と権利について考えた人の代表的な人に、ルソー、サルトル、フロムがいる
・ルソーについて
・ルソーは、学問や芸術は、誰かが他人を見下すための方法として生まれたものだと
考えていた
→そのため、学問や芸術は人々の自由な気持ちを無くさせてしまってきたと考えた
・ルソーは、「人間不平等起源論」と「社会契約論」を書いた
・ルソーは、「人間不平等起源論」の中で、・・
・昔は、一人一人が自由に独立して生活していて、
自己保存の欲望と思いやり(あわれみ)の感情があるだけで
それ以外の余計な感情は無かったと考えた
・今は、私有財産、それを守る法律、財産に対する欲望などがあり、
思いやりの感情が弱く、不平等な社会であると考えた
→そのため、ルソーは「自然に帰れ」という、昔のように戻るといった考え方が
理想だが、不可能だと考えていた
・ルソーは、「社会契約論」の中で・・
・「自然に帰れ」ができない分、個人の「自然的自由」の代わりとして、
人々が結びつくことで可能となる「市民的自由」が必要だと考えた
・ルソーが考える社会契約とは・・
・一般意志(社会全体に利益がもたらされることを目指す意志)を作って、
全ての人が一般意志の全てに従うという契約
※ただし、特殊意志(自分の利益を求める意志)を合計したもの(=全体意志)とは
別物だと考えた
→ルソーは、一般意志に従うことで、自分の欲望を捨てて、普段の生活の中で、
元々自分に備わっている「道徳的自由」を得られると考えた
※この考え方は、カントという人の「自律」の考え方と似ている部分がある
→ルソーは、一般意志は全ての人が直接参加することで作られる意志で、
国家は、意志を行わせる場所でしかないと考えた
※そのため、国家が一般意志を達成させなかったら、
人々は革命権を使ってよいと考えた
→以上のような考え方から、ルソーは、全ての人々の共同の意志を土台にして
成り立つ国が理想だと考えた
=これは、直接民主主義の考え方であり、
徹底した人民主権の考え方を主張したと言える
※この考え方は、民主国家の理想を表すものであり、
フランス革命にも大きな影響を与えたと言われている
・サルトルについて
※第二次世界大戦後は、フランスで実存主義が注目され、サルトルが活躍した背景がある
・サルトルは「存在と無」という本を書いた
・サルトルの考え方について
・サルトルは、
もし神がいるならば、人間は神に作られたものだから、
人間の本来あるべき姿は元々決まっていると考えた
=このような考え方を、「本質は実存に先立つ」と表現する
しかし、サルトルは、人間は自由であり、神に作られたものではないと考えた
=このような考え方を、「実存は本質に先立つ」と表現する
→サルトルは、「実存は本質に先立つ」の立場に立った
・サルトルは、人間は生き方を決められていて自由な存在だと考えていた
しかし、自由だということは、自分のことは自分の責任で決め、
他人や人類に責任を負うものだと考えた
→このような考え方から、サルトルはアンガージュマンを提唱した
※アンガージュマン・・自分の世界だけで終わるのではなく、
社会に参加していこうとする考え方のこと
・フロムについて
・フロムは、「自由からの逃走」という本を書いて、自由に耐えられなくなって、
新しい束縛に自分から服従していく人々の心理を、
ドイツのナチズムを照らして考え、分析をした
・フロムは、消極的自由(~からの自由)ではなく、
積極的自由(~への自由)が大切だと考えた
・消極的自由・・人々を束縛から離して、個人を自立させる、という面での自由のこと
・積極的自由・・人々が自分から社会と関係を持って、
社会の中で自分の能力を発揮することを目指す自由のこと
・権利と義務について
・自由には責任が、権利には義務がついていることを意識する必要があると言われている
※このような考え方について、議論すべきものとして、「公共の福祉」などがある
=自分の利益のために、他の人の利益の邪魔をしてはいけないが、
「公共の福祉」だから、という理由で、個人の利益を必要以上に邪魔してもいけない
まとめ
・ルソーの考え方を押さえる
・サルトルの考え方を押さえる
・フロムの考え方を押さえる
・自由、権利、責任、義務について、改めて考えてみる