現代の市場について② -市場の失敗・寡占と独占-
市場について、市場の失敗・寡占・独占を考えてみます
・市場の失敗について
・市場は、競争の状態や財とサービスの特性などによって、
市場メカニズムが上手に働かない場合がある
→このような場合を、市場の失敗(市場の限界)と言う
・市場の失敗は主に下の3種類がある
①競争の不完全性
・ある企業が大きくなって市場を支配すると、企業どうしの競争が弱くなり、
最適な分配をするという価格の役割を失ってしまう
※企業が大きくなる理由として、企業の合併、設備投資による生産量の拡大、
情報通信網の拡大などがある
②外部経済と外部不経済
・外部経済(公共財)・・電波などのように、お金を使わなくても
財やサービスを受けられるもののこと
・外部不経済・・公害などのように、お金をもらうことなく、不利益を受けるもののこと
→外部経済の場合は、費用を回収することができないので、供給量が少なくなってしまう
逆に、外部不経済の場合は、供給量が多くなってしまう
※公共財は、非排除性と非競合性の特徴を持っている
・非排除性・・お金を払わない人に財やサービスを与えないということができない
・非競合性・・どの人がどれだけ使っても、他の人の分が減ることがない
③財とサービスの特性
・医療や教育などは、市場に任せると所得の低い人が
サービスを受けられなくなる可能性がある
・森林や河川などは、市場に任せると自然それ自体が破壊される可能性がある
→上のようなことが考えられるため、人々が必要でも、市場に任せることが
必ずしも正解とは限らない場合がある
=このような財やサービスは社会的共通資本と呼び、社会的共通資本は
市場と別の仕組みで管理や運営がされる必要があると言われている
・寡占化と独占化について
・19世紀の後半から段々と資本がどこかに集中するようになってきて、
独占企業体が現れるようになってきた
※独占企業体・・カルテル(企業連合)、トラスト(企業合同)、
コンツェルン(企業連携)などをまとめた呼び方のこと
※・カルテル・・同じか似たような業種の企業が、お互いに競争することを避けるために、
企業どうしで協定を結んだり、合意したりすること
・トラスト・・市場を独占するために、同じ業種で、いくつかの企業が資本を合わせること
・コンツェルン・・市場を独占するために、違う産業どうしで、
いくつかの企業が資本を合わせること
・寡占化や独占化が、なぜ問題なのか
・寡占化や独占化が進むと、企業どうしでの価格を下げる競争が弱くなってしまう
→そうなると、価格が変化する場合、値段が上がることはあるが、
下がることがなくなってしまう
=このような動きを、価格の下方硬直性と言う
・寡占や独占をしている産業は、管理価格になってしまいやすいと言われている
※管理価格・・市場メカニズムに委ねるのではなく、
供給する側がどれほどシェアを持っているかで決めるという
独占価格や寡占価格などのような、企業が独自に決める価格のこと
※管理価格の例として、プライス・リーダーシップ(価格先導制)などがある
・プライス・リーダーシップ・・ある企業が決めた価格に他の企業が
知らずのうちに合わせて価格を決めること
→世界各国は上のような問題に対する不安があり、
価格が大きく変化させることができるように、
独占禁止法などを作るようにしている
※独占禁止法について
・独占禁止法・・個人的な独占の禁止、不公正な取引の禁止、正当ではない取引きの制限
などを決めた法律のこと
→・この法律は1947年にできた
・この法律は公正取引委員会というところが担当している
・この法律で持ち株会社の禁止がされていたが、
1997年に持ち株会社が大丈夫になった
・この法律には、カルテル適用除外制というものがあったが、
1999年に無くなった
※・カルテル適用除外制・・合理化カルテルや不況カルテルなどを認める制度のこと
・合理化カルテル・・同じ業種の企業が、合理化のために協定などを結ぶこと
・不況カルテル・・不況が原因で、ある業種の存在自体が危ない場合に
認められたカルテルのこと
・寡占化している産業は、情報機器などの分野は価格競争が激しいが、
基本的には非価格競争が行われる
※非価格競争・・価格以外の部分で他の企業とする競争のこと
→非価格競争の例
・製品差別化(性能やデザインなどを他の企業と違うものにすること)をする
・宣伝を大量に行って、自分の会社の製品のアピールをする など