江戸時代の村と百姓について
江戸時代の村と百姓について考えてみます
・村と百姓について
※当時の社会の構成で最も重要だったのが、村と百姓だったと言われている
・村について
※村とは・・百姓の家と敷地が集まった集落を中心にして、山、川、田畑の
土地などの広い範囲を含む小さな社会(共同体)のこと
・村には、百姓の生活と経営を支える組織があった
→そのため、農業の年貢が重要な幕藩体制では、村が貴重な存在になった
・惣村が分けられたり、新田開発が行われたりしたため、多くの村が出てきた
・村は、農村以外に漁村、山村、在郷町などもあった
※在郷町・・定期市などを中心として都市になった村のこと
・村には、戸数や土地面積など、様々な個性があったが、共通する特徴もあった
※村に共通する特徴について
・村は、名主(庄屋、肝煎)、組頭、百姓代という村の役人を中心とした本百姓が運営した
=名主、組頭、百姓代をまとめて、村方三役という
・入会地の利用、用水や山の管理、治安の維持、防災などが自主的に行われた
→これらに使う経費を村入用と言い、村民が協力して負担した
※入会地・・村民が共同で使う権利のある場所のこと
※田植えや屋根葺などの時は、村民は結やもやいと呼ばれる共同作業を行って
お互いに生活や仕事を支え合った
・村は、村法(村掟)というルールによって運営された
→村法に反すると、村八分などの制裁を受けた
※村八分・・村民全員が、ルールに反した人と縁を切ること
・村では、いくつかの家をまとめて、五人組がつくられた
→年貢の納入や犯罪について、五人組で連帯責任を負わされるようになった
→幕府や藩は、上のような村を信頼して、村単位で年貢や役割を振り分けるようになった
=このようなスタイルを、村請制という
・村の構成について
・村には、階層がいくつかあった
・村は、本百姓が基本的に構成していた
※本百姓は、検地帳に登録された田や家を持ち、年貢などを担当し、
村の政治に参加する、などのことを行った
・一方で、村には水呑(無高)や名子、被官などがいた
※水呑・・田や畑を持たないで、地主の下で働いたり、日雇いの仕事をしたりし
て生活する人のこと
名子、被官、譜代・・本百姓と主従関係を結んで、奴隷のような関係にあった人のこと
・本家と分家というような、血縁による序列があった
・様々な経営でも階層区分があった
※例:漁業での網元(船を持っていて網子を使う人)と網子(網元に従う人)の関係 など
・村に神社などが作られた
=これが、村の人々の関係や信仰を保つ場所になった
→村には、農民以外にも宗教者や職人なども少しいた
・本百姓の負担について
・本百姓には、本途物成、小物成、国役、伝馬役などが負担として課せられていた
※本途物成・・田や畑、家や敷地などを基準にしてかけられた年貢のこと
→本途物成では、石高の40~50%をお米か貨幣で
領主におさめるのが一般的だった
=このことを、四公六民、五公五民などと言うことがある
※年貢の負担率の決め方には、検見法と定面法の2種類があった
・検見法・・その年の収穫に合わせて率を変えること
・定面法・・一定期間は同じ率で負担すること
※小物成・・農業以外の仕事(山や海の利用など)にかけられる年貢のこと
※国役・・国単位でかけられる、土木作業などの労働の提供のこと
※伝馬役・・交通のために、人や馬を提供すること
→これらの負担は、力が弱い百姓には重い負担だったと言われている
・幕府の村への影響について
・幕府は、貨幣経済に影響されないこと、村の経営を安定させることを考えていた
→そこで、幕府は様々な法律を作った
※1642年には、寛永の飢饉という飢饉が起きている
・1643年に田畑永代売買の禁令という法律を作った
※田畑永代売買の禁令・・田や畑を永遠に売買してはいけないという法律のこと
・1673年に分地制限令という法律を作った
※分地制限令・・一定以上の土地が無ければ、土地を分けられないようにした法律のこと
→分地制限令は、田や畑が細かくなってしまう事を防ぐ目的で作られた
・田畑勝手作りの禁という法律を作った
※田畑勝手作りの禁・・田や畑で、商品作物(たばこや菜種など)を
自由に作ることを禁止した法律のこと
→上のように、幕府は村の日常や仕事にまで介入して法律を作った
※日常にまで触れて作られた法律に、1649年に出来た「慶安の触書」というものがある
・慶安の触書・・農村を対象にして作られた法律のこと
・百姓の生活について
・百姓は、麻や木綿の筒袖を着ていた
・百姓は、お米ではなく、様々な雑穀を食べていた
・百姓は、萱やわら葺といった簡単な家で住んでいた
=百姓は全体的に貧しい生活を送っていたと言われている
ポイント
・村の概要を押さえる
・村の共通の特徴を押さえる
・村の構成を押さえる
・本百姓の負担を押さえる
・幕府と村との関係を押さえる
・百姓の生活を押さえる
このあたりが今回のポイントです