GATT・WTOと国際資本の動きについて
GATTからWTOへの流れと国際資本について考えてみます
・GATTからWTOへの流れについて
・GATTは、関税などの輸入制限に関するルールを無くすことについて、
多くの国で議論する場所として、ラウンドが作られた
→ラウンドでは、1964~67年のケネディ・ラウンド、
1973~79年の東京ラウンドなど
しっかりと成果を残してきたと言われている
・1980年代に、先進国の間で経済摩擦(経済面での意見や動きのすれ違い)が
大きくなってきた
→その中で、保護主義(保護貿易を中心とする考え方)という考え方が出てきて、
GATT体制の意味が無い状況になってしまった
→そこで、1986年にウルグアイ・ラウンドというものが始められた
※このラウンドの時に、様々な内容に関して熱い議論がされ、
最終的に1993年12月に様々なことが合意された
・ウルグアイ・ラウンドで合意された内容について
・サービス貿易(サービス(目に見えない財)についての貿易)や知的所有権に関して
ルールを作ることが合意された
・農産物について、関税をかけること、ミニマムアクセス(一定の量の輸入の義務)を
負わせることが合意された
・GATTを新しい国際機関として、WTO(世界貿易機関)に移ることが合意された
・セーフガードが認められた
※WTO・・GATTから新しく変わった貿易に関する機関のことで、
1995年1月に正式に作られた
→WTOになってから、自由貿易を広げていくための新しいラウンドとして、
2001年からドーハ・ラウンドが作られたが、
交渉はスムーズには行われてはいない
※セーフガード・・輸入が急増した時に対処するための緊急の輸入制限のこと
→具体的な動きとして、輸入の量を制限したり、
関税を引き上げたりすることが行われる
・国際資本の動きについて
・現在の世界の金融市場では、生産や消費のために必要な資金以上の資金が
取り引きされている
※その中の多くは、投機的資金だと言われている
・投機的資金・・株式の値段や為替レートの変動などを使って、
利益を生み出すための資金のこと
→投機的資金は、大量の資金が急速なスピードで移動するので、
世界経済を不安定にさせる原因の一つだと言われている
→このような動きがあるので、現在の資本主義は、カジノ資本主義と言われることがある
※カジノ資本主義・・金融が自分の利益のためになっていて、
経済自体の正常な発展を邪魔する現象のこと
(1990年代以降のヘッジファンドと呼ばれる人達の動きは、
カジノ資本主義だと言われている)
・最近では、新興経済諸国の証券市場(エマージング・マーケット)が
急速に成長しているので、投資のターゲットとされている
→その中でも、ヘッジファンドと呼ばれるような新しいタイプの投機的資金が、
エマージング・マーケットのような市場に向けて集まるようになった
※・新興経済諸国・・人口が多く、経済成長率が高い国々のこと
(代表的なものに、BRICsなどがある)
・ヘッジファンド・・資金の運用によって利益を目指す法人のこと
※ヘッジファンドについて
・ヘッジファンドが投機的資金を大量に市場に送り込むと、経済がバブルになり、
逆に大量に市場から回収すると、経済に通貨危機が起きる
=そのため、投機的資金が石油やコメなどのモノの商品に送り込まれると、
エネルギーや食料などの値段を上げてしまうことになる
→このような現象は、国際経済自体がおかしくなってしまう可能性があるので、
世界全体にトービン税(為替取引税)と呼ばれる税を取り入れて、
投機的資金の国際間での大きな移動を制限している
ポイント
・GATTからWTOまでの流れを押さえる
・国際資本の動き、特にカジノ資本主義、ヘッジファンドなどを押さえる