「財政の仕組みがわかる本」を読むと、思った以上に財政は考えさせられるという話
そもそも財政とは何かということをわかりやすく解説した書。財政とは、民主主義に基づいて、社会の構成員の共同意思決定のもとに運営される経済のことをいう。市場社会はよく「企業」「家計」「政府」という3つの経済主体の関係で説明されるが、企業や家計をまとめて一つの社会にする活動(統治)をする政府の経済のことを財政という。
市場社会においては、利潤の追求をしてよい領域(ウォンツ)と、利潤を追求してはいけない領域(ニーズ)を分ける必要があるが、近年の日本ではこの区別がつかなくなって社会的な混乱が起きていると指摘されている。
日本において財政と言えば、やはり膨大な財政赤字に関することかもしれない。マスコミ等をみても財政再建は喫緊の課題だと喧伝されている。しかし、日本においては国民から国民に借金をしているという内国債のため、そんなに心配する必要はないという印象を受けた。また、財政学の伝統的な考え方の「量出制入原則」に従うという意味でも、財政再建ばかりに焦点を当てるのはどうかと思った。
財政的に心配ないのであれば、財政再建を目的とするのではなく、国民のニーズに応えることを目的とし、ニーズを満たすことで合意を得ながら増税することによって長期的に財政再建していくことが現実的なのかもしれないと感じた。