新興工業国と工業化が進まない地域について
新興工業国と工業化が進まない地域について考えてみます
・新興工業国について
※日本以外のアジアの国々は、工業の発達が遅れていた
→しかし、第二次世界大戦後からは各国とも工業化に向けた動きが
見られるようになった
・第二次世界大戦後
→・輸入代替型の工業化が進められた
※輸入代替型・・外国から輸入していた雑貨や繊維などの消費財を、
輸入しないで国内で生産する工業のこと
※しかし、アジアの国々は国内の市場が狭く、経済の発展には結びつかなかった
→そこで、1960年代からは以下のような動きが見られるようになってきた
・輸出指向型の工業が始まった
※輸出指向型・・国内資源の加工度を高めて輸出したり、
輸出向けの部品生産などを行ったりする工業のこと
※中でも、韓国、台湾、香港、シンガポールは、積極的な工業政策を行って、
輸出が増えていった
=そのため、これらの国々はアジアNIEsと呼ばれるようになった
※なぜ、アジアNIEsが出てくるようになったのか
・1970年代に外国から資本と技術を導入した
・豊富な労働力と比較的安い賃金水準を利用して、積極的な産業育成と
輸出の拡大に取り組んだ
・マレーシア、インドネシア、タイなどのASEAN諸国でも、
輸出指向型の工業化が進められた
→これらの国々では、以下のような動きが見られた
・雇用機会の増大や技術の移転などを期待して、輸出加工区を設けた
※輸出加工区・・そこで生産される製品の輸出を条件に、免税などの優遇措置で、
企業の立地を促す地区のこと
・工業団地を作ることで、外国の企業を積極的に誘致した
・最近は、1990年代に経済の自由化を進めたブラジル、ロシア、インド、中国の
工業化が注目されている
=これら4カ国はBRICsと言われている
→BRICsは、人口規模の大きさから、経済成長が続けば重要な市場になると予測され、
外国企業の進出が増えている
※BRICsの国々は、それぞれ以下のような動きを見せている(インドは別で扱う)
・中国
→・沿海部を中心に経済特区などを設けて外国企業の投資を積極的に受け入れた
・テレビやエアコンなどの家電製品や自動二輪者など、多くの工業部門で
世界一のシェアを占めた
・中国は、「世界の工場」と呼ばれるまでに成長した
・民間企業の成長が著しいが、国営企業は生産性や効率性の面で
課題が見えるようになってきたと言われている
・ロシア
→・社会主義体制の転換によって国内が混乱していたために、工業生産は低迷した
・21世紀になって鉄鋼業や石油精製工業などを中心に復活しつつある
・国営企業の民営化が進んでいる
・金融や産業全般に影響を与える新興企業のグループが作られている
・ブラジル
→・ウジミナス製鉄所を始めとする鉄鋼や石油化学などの基幹産業部門の国営企業が
あいついで民営化された
・工業は、サンパウロ州など、ブラジル南部を中心に立地する
・現在は、フリーゾーンがあるアマゾン川中流域のマナオスに、
自動車や電気機械などの外国企業が出てきている
※フリーゾーン・・貿易にかかる税金が優遇される地域のこと
・工業化が進まない地域について
・アフリカなどは、工業化が進まない地域が多い
※なぜ、工業化が進まないのか
→工業化が進まない理由に、国内と国外の理由がそれぞれある
・国内
→・電気や水道などの産業の基盤が整備されていない
・工業化のための資本や技術が不足している
・国民の購買力が弱く、市場が小さい
・国外
→・国内の政治や通貨が安定していないために、外国企業が進出できない
・国際分業に組み込むことが出来ない
・植民地時代の宗主国に依存した経済を持続させてしまう
ポイント
・新興工業国についておさえる
・工業化が進まない地域についておさえる
このあたりが今回のポイントです