ヨーロッパの将来的な課題について
ヨーロッパの課題について考えてみます
・ヨーロッパの課題について
・工業面での最大の課題は、失業率と産業の空洞化だと言われている
※どういうことか
・安い賃金のために、西ヨーロッパの多くの国が生産拠点を東ヨーロッパに移動した
→すると、東ヨーロッパでの企業が増えるが、西ヨーロッパでの企業は減少し、
産業の空洞化が起こる
→また、西ヨーロッパの産業の空洞化が、西ヨーロッパの人々の
失業率の上昇を招いた
=西ヨーロッパから東ヨーロッパへの企業の移動が、
いくつかの問題を引き起こしている
※実際にドイツでは、多くの移民労働者が産業の基盤を支えていた
→しかし、東ドイツ地域などに工場が移転するにつれて、移民の失業率が上昇した
=そのため、ドイツでは失業給付などの社会保障負担が増えている
※また、1980年代からEUに加盟したポルトガルやギリシャのように、
産業の高度化で目立った進展がなかった国は、安い労働力を提供する
東ヨーロッパの国々との競争が課題ともなっていると言われている
・EUの狙いが、逆に問題を生み出している場合もあると言われている
※EUの根本的な狙い
→将来的には、それぞれの加盟国の主権を制限して、EU全体として
政治や法律の制度を一元化していく
=しかし、実際は国民国家の枠組みを変えることは簡単ではない
※実際にも、以下のような問題が出てきている
・デンマークの問題
→・当時のEUの憲法にあたるマーストリヒト条約の批准についての
国民投票の結果、反対が多数を占めた
=この問題をデンマーク・ショックという
※デンマークは、もともと環境政策や社会福祉の面で高い水準にあり、
EUに基準を合わせることで、自分の国の水準が低下する
という心配が国民の間で強かったため、デンマーク・ショックが起きた
・単一通貨の導入も、デンマークやイギリスは保留している
※デンマークの問題は、各国の利害の調整の難しさを表していると言われている
=これらの問題の結果、その後新たに結ばれたアムステルダム条約では、
以下のような動きが見られた
・首脳会議の決定を全会一致とする規定を見直した
・加盟国であっても、国内の反対が強い場合は、国内の事情を
優先してもよいことになった
・トルコの問題
→・トルコは、1960年代から加盟を申請してきた
・トルコは、ヨーロッパとアジアとをつなぐ位置にある
・トルコの国民の大半はムスリムになっている
・トルコは、建国以来ヨーロッパをモデルとした改革を進めてきた
=EUがキリスト教圏に限られるのか、初めてイスラーム世界も
取り入れるのかが、重要な課題となっている
・キプロスの問題
→・キプロスでは、北部に多いトルコ系住民と、南部に多いギリシャ系住民との間で
紛争が起きていた
・トルコの支援を受けた北部は、1983年に北キプロス・トルコ共和国として
一方的に独立を宣言した
・ギリシャ系のキプロス共和国は、2004年にEUに加盟した
※しかし、国土が分断されている問題は残されている
=キプロスの独立とEU加盟に関するギリシャとの対立が
微妙な問題となっている
・経済的統合の面での問題
→・新規加盟国の開発支援に対するコストを負担した上で、
先端産業の分野で優位に立てるかどうかという課題
・EUの単一通貨であるユーロの価値が、EU域内の経済に大きな影響を与えている
※実際に、EU発足以来から21世紀の初めにかけて、
ユーロはドルに対して30%近く高くなっている
=そのため、EUの工業製品や農産物は、世界の市場での競争という面で
苦しいと言われている
・政治的統合の面での問題
→・2003年のイラク戦争の時に、EU加盟国の対応が分かれた
=EUは、国際紛争に対して一致した態度を取ることができない
・EUが、世界の安全保障にどのように貢献できるのか、という点を
議論する必要がある
・文化的統合の面での問題
→・EUにおける多民族の共生を、どう受け入れていくかということを考える必要がある
ポイント
・ヨーロッパの課題についておさえる
このあたりが今回のポイントです