大正デモクラシーを中心とした考え方と理想主義や人道主義、当時の様々な傾向や運動について
大正デモクラシーを中心とした考え方と理想主義・人道主義、
様々な社会の傾向と運動について考えます
※そもそも大正デモクラシーとは・・
→大正時代に起きた、民主主義的な社会の様子や、そのための運動などのことをまとめて指す
・大正デモクラシーの思想について
※第一次世界大戦の前後で、都市の知識人達が大正デモクラシーという考え方を生み出した
→大正デモクラシーを理論的に支えた人の代表に吉野作造がいる
・吉野作造と民本主義について
・吉野作造は、民本主義を提唱し、大正デモクラシーを理論的に支えた
※民本主義とは・・
→国民の考えを尊重して、国民の利益と幸福を目的とした政治を行う考え方のこと
ただし、主権は天皇で、多くの国民が政治に参加することが大切だと考えた
→この考え方が支持されたことにより、普通選挙制や政党内閣制の実現のための道が
開かれたと言われている
※民本主義と民主主義の違い
・民本主義・・明治憲法を前提として、天皇を主権と考えた
・民主主義・・国民が主権だと考えた
・理想主義と人道主義について
※当時、理想主義や人道主義が提唱され、阿部次郎や白樺派などの人達が中心だった
・阿部次郎-人格主義などを提唱し、「三太郎の日記」などを書いた
→人格主義とは・・自分の中にある人格を、様々な文化を吸収して
発展させるべき、という考え方のこと
※阿部次郎の「三太郎の日記」は、倉田百三の「愛と認識との出発」と一緒に
「青春の古典」と言われた
・白樺派-教養を重視し、個性を自由に伸ばすべきだという考え方を提唱した
=この考え方を人道主義と言い、
代表的な人に武者小路実篤や有島武郎などがいる
・武者小路実篤-・「新しき村」を建設し、「友情」や「その妹」などの本を書いた
※「新しき村」・・自分をすべて生かす理想の共同体のこと
・本当の利己(自分の利益を追求して、他人の利益を気にしないこと)
を行えば、それが人類のためになるように人間が作られている部分に
人間の価値があると考えた
・有島武郎-・上流階級の身分でありながら、自分が社会主義のような人道主義である
という矛盾に苦しんだ
・その他に、永井荷風や谷崎潤一郎などがいる
・永井荷風や谷崎潤一郎・・文明開化が肉体を無視していることを批判して
自分の肉体の官能の美しさを提唱した
→理想主義や人道主義の人達の特徴
・西洋近代の考え方に触れることをベースにした
・明るく伸びやかに自我を肯定した
・理想の核心は自我だった
・さまざまな風潮と社会運動について
・大杉栄-・無政府主義(アナーキズム)を提唱した
→政府や政党などの全ての権力を否定し、
個人の自由な意志が全てのモノの上位に来ると考えた
・河上肇-・「貧乏物語」という本を書いた
→元々は非利己主義を目指す人道主義者だったが、
「貧乏物語」で貧困の対策を立てて以来、マルクス主義に変わっていった
・女性解放運動について
・女性解放運動のスタート・・福田英子という人が女性の権利を拡張するべきだと訴えた
・女性解放運動の発展・・平塚らいてうが発展に影響を与えた
・平塚らいてう-・「青鞜」という雑誌を作り、「元始、女性は実に太陽であった」
と宣言した
→結果的に、女性の自我の確立に大きな影響を与えた
・平塚らいてうは、「新しい女」と呼ばれ、非難されていたが、
婦人参政権の要求や、母性保護などを提唱し、
女性の社会的な解放に力を注いだ
※1922年には、全国水平社が創立された
→「人の世に熱あれ、人間に光あれ」と訴える水平社宣言というものが出された
ポイント
・吉野作造が民本主義を提唱し、大正デモクラシーを理論的に支えた
・阿部次郎が人格主義を提唱し、白樺派が人道主義を提唱した
・武者小路実篤、有島武郎、永井荷風、谷崎潤一郎などの考え方を押さえる
・理想主義や人道主義の人達の特徴を押さえる
・大杉栄が無政府主義を提唱し、河上肇が「貧乏物語」を書いて思想が変わった
・福田英子が女性解放運動のスタートを切った
・平塚らいてうが女性の自我の確立に大きな影響を与えた