西洋の中世から近世への変革② -宗教改革・ルターとカルヴァン-
宗教改革について考えてみます
・ルターと宗教改革について
・ルターは中世の教会の状況に違和感を感じていた
※中世のカトリック教会の状況
→・教皇(ローマ・カトリック教会で最も位が高い人のこと)を頂点とした
ピラミッド型のヒエラルキー(位階制)だったため、
人間の自由よりも、上下関係を重視した
・このような状況の影響により、人々は信仰する時の純粋さを段々と失っていった
・中世の終わりのほうでは、罪を金銭によって解決できるとして、
贖宥状(免罪符)が売られるようになった
→このような状況に違和感を持っていたルターは、教会の様子に抗議して、
1517年に「95カ条の意見書(論題)」というものを教会の扉に張り出した
=これが宗教改革のスタートだと言われている
※ルターの考え方と行動は、当時苦しんでいたドイツの農民などに支持された
・ルターの考え方
→・信仰義認説・・神によって正しい人間として認められる(義認)ためには、
免罪符を買ったり、教会が作ったルールを守ったり、
というような外的な行動は必要ではなく、
個人の内面的な信仰だけが大切だと考えた
・聖書中心主義(福音主義)・・信仰の時に頼りにするものは「聖書」だけで良い、
という考え方のこと
※「聖書」だけが、神の言葉を伝えていると考えたから
・万人司祭主義・・聖職者の権威を否定して、神を信じる人は
誰でも平等に司祭(カトリック教会の聖職者のこと)に
なれると考えた
※ルターの有名な著書に、「キリスト者の自由」というものがある
また、宗教改革を受けて自分達の考えを改善した人々(=反宗教改革の人々)がいて、
中心はイグナティウス=ロヨラという人達だった
・カルヴァンについて
→カルヴァンは、「キリスト教鋼要」というものを書き、
ルターの思想をさらに実践的に徹底させた
・カルヴァンの考え方
→・神は絶対であって、全ての存在は神の支配で決まっている
そのため、神に救われるかどうかは、各人の努力や能力は全く関係なく、
神の意志によって決められていると考えた(=これを予定説という)
※では、自分が神に救われているということは、どうやって感じることができるのか
→・人間は神の道具だから、人々は神のために働かなくてはいけない
そのため、全ての職業は神から与えられた天職(神の召命)であると考えた
=これを職業召命観という
→よって、人々は自分の職業に励むことで神がどうやって救うか
という予定を知ることができると考えた
※・カルヴァンの考え方は、「職業人(専門人)」とも言われ、
ウェーバーという人の「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」
という本で明らかにされた
・カルヴァンの考え方は、イギリスのピューリタニズムに受け継がれた
・宗教改革の特徴
→・心の内面を変えようとした
・気持ちの面だけではなく、政治や社会をも変えようとした
ポイント
・ルターは95カ条の意見書を張り出し、信仰義認説、聖書中心主義、
万人司祭主義などを考えた
・カルヴァンは、「キリスト教綱要」を著し、予定説や職業召命観などを考えた
・ルネサンスと宗教改革の違い、それぞれの特徴や理想などを押さえる