フランス啓蒙思想について -社会契約説とルソーを中心に-
フランス啓蒙思想とルソーについて考えます
・フランス啓蒙思想について
・そもそも啓蒙思想とは・・
→理論的ではない信仰や神に関する学問などを無くしていき、
少しずつ様々な知識を得ながら、人々の生活をよりよくさせていこうとする
考え方のことで、18世紀のフランスで誕生した
※啓蒙思想は、人々の自由を奪う「旧制度」(アンシャン=レジーム)も批判した
・この啓蒙思想が生まれた時に活躍した人として、代表的な3人が挙げられる
・モンテスキュー - 「法の精神」を書き、三権分立を提唱した
・ヴォルテール - 宗教や言論の自由のために、文章を書く活動を行った
・ディドロ - 「百科全書」という本の代表で、新しい思想や学問などを
取り入れて、実際に生かそうとする運動をした
→この3人は、3人とも、古い習慣や文化よりも理性のほうが圧倒的に重要だと考えた
・ルソーについて
・ルソーは、学問や芸術は、誰かが他人を見下すための方法として
生まれたものだと考えていた
→そのため、学問や芸術は人々の自由な気持ちを無くさせてしまってきたと考えた
・ルソーは、「人間不平等起源論」と「社会契約論」を書いた
・ルソーは、「人間不平等起源論」の中で、・・
・昔は、一人一人が自由に独立して生活していて、
自己保存の欲望と思いやり(あわれみ)の感情があるだけで
それ以外の余計な感情は無かったと考えた
・今は、私有財産、それを守る法律、財産に対する欲望などがあり、
思いやりの感情が弱く、不平等な社会であると考えた
→そのため、ルソーは「自然に帰れ」という、昔のように戻る
といった考え方が理想だが、不可能だと考えていた
・ルソーは、「社会契約論」の中で・・
・「自然に帰れ」ができない分、個人の「自然的自由」の代わりとして、
人々が結びつくことで可能となる「市民的自由」が必要だと考えた
・ルソーが考える社会契約とは・・
・一般意志(社会全体に利益がもたらされることを目指す意志)を作って、
全ての人が一般意志の全てに従うという契約
※ただし、特殊意志(自分の利益を求める意志)を合計したもの=全体意志とは
別物だと考えた
→ルソーは、一般意志に従うことで、自分の欲望を捨てて、普段の生活の中で、
元々自分に備わっている「道徳的自由」を得られると考えた
※この考え方は、カントという人の「自律」の考え方と似ている部分がある
→ルソーは、一般意志は全ての人が直接参加することで作られる意志で、
国家は、意志を行わせる場所でしかないと考えた
※そのため、国家が一般意志を達成させなかったら、
人々は革命権を使ってよいと考えた
→以上のような考え方から、ルソーは、全ての人々の共同の意志を土台にして
成り立つ国が理想だと考えた
=これは、直接民主主義の考え方であり、徹底した人民主権の考え方を主張したと言える
※この考え方は、民主国家の理想を表すものであり、
フランス革命にも大きな影響を与えたと言われている
ポイント
・啓蒙思想の考え方を押さえる
・モンテスキューは、「法の精神」を書き、三権分立を提唱した
・ヴォルテールは、宗教や言論の自由のために、執筆活動を行った
・ディドロは、「百科全書」の代表で、新しい思想や学問を取り入れようとした
→3人とも理性が勝つと考えられていた
・ルソーは、学問や芸術は、人間のわがままから生まれたものだと考えた
・ルソーは、「人間不平等源論」の中で昔に戻る「自然に帰れ」という理想があったが、不可能だと考えていた
・ルソーは、「社会契約論」の中で、「自然的自由」の代わりに、「市民的自由」を提唱した
・ルソーは、社会契約について、一般意志を提唱し、特殊意志をまとめた全体意志と区別した
・ルソーは、一般意志に従うことで、「道徳的自由」が得られると考えた
・ルソーは、国家は、意志を行わせる場であって、国家がそれを達成しなかったら、人々は革命権を使ってよいと考えた
・ルソーは、直接民主主義と人民主義の考え方で、フランス革命にも大きな影響を与えた