異文化理解の倫理について考える -自民族中心主義・同化主義・文化相対主義・多文化主義-
異文化理解に関する倫理について考えてみます
・異文化理解の現状について
※前提として、社会には、200近くの独立国家と6000近くの言語がある
→・このことから、世界全体が、多言語・多民族国家であることがわかる
・人々の移動がグローバルになったことが後押しをして、多くの出会いがあり、
多文化状況が進んでいる
・以上のように多文化状況が進んでいる中で、現在2つの状況が生じている
→・民族や文化を、組み合わせて一つにしていくことが難しく、
自分達の文化を強調したい、という意識などから民族紛争が起きている
・異文化に触れることで、新しい文化を作って、社会が豊かな方向に向かっている
※日本思想は、まさにこのような状況で歴史が作られてきた
→そこで、世界をよりよくしていくために・・
・日本国憲法の中にある、「平和のうちに生存する権利」の実現が重要であり、
異文化が共生することが必要
→そのための最初の段階として、異文化の理解が必要だと言われている
※中でも、マイノリティ文化(少数派の文化)を理解して、
尊重することが大切だと言われている
・自民族中心主義について
・前提として、昔は異文化を理解しないで、排除する傾向があった
例-・古代ギリシアの人達は、ギリシア語を話さない異民族を
「バルバロイ」と言って差別した
・儒教の文化の場所では、自分を「中華」と呼び、
異民族を「夷秋」と言って差別した etc
→このような考え方の根本には、自民族中心主義(エスノセントリスム)の
考え方があると言われている
※自民族中心主義(エスノセントリスム)とは・・
→自分の文化を基準にして、他の文化を評価するといったような、
自分を中心とした考え方のこと
※自民族中心主義は、避けられないことかもしれないと言われている
→理由・・全員が自分の文化で生活し、体の中に自分の文化が染み込んでいて、
他の文化を受け入れることが難しいと思われるから
・同化主義について
・昔は、異民族の統合の方法として、同化主義が取られていた
※同化主義・・少数派(マイノリティ)の民族を、多数派(マジョリティ)の
民族の中に吸収させて混ぜることで民族を統合する方法のこと。
日本の風潮には、同化主義の傾向がある
→同化主義の考え方は、少数派の意見や考えが潰されると同時に、
同化に否定的な人を差別したり、排除してしまったりする可能性があると言われている
・文化相対主義について
・そもそも、文化相対主義とは・・
→・レヴィ=ストロースという人が提唱した
・全ての文化は、その土地や環境などに合うように作られて行ったから、
様々な文化にはそれぞれに独自の価値があり、どれが良くて、どれが悪いなど、
文化に良いも悪いも無いとする考え方のこと
・そのため、文化を理解しようとする時は、いつも周りとの関係の中で
見てみることが大切だと考えられた
例-人は時間や場所によって、立場が変わる etc
・文化相対主義は、自民族中心主義や同化主義の考え方から抜け出す必要がある
という考えを土台にして考えられた
→そこで、人々は自分の文化だけでなく、多くの文化に戻ってくるべき、という考えが生まれ
文化相対主義が考えられるようになった
・多文化主義について
・多文化主義とは・・多数派の文化が、積極的に少数派の文化を受け入れていくべき、
という考え方のこと
→同化主義に対して生まれた考え方で、現在の段階では有力な部分もある
※多文化主義の考え方の中には・・
・積極的差別是正措置(アファーマティブ=アクション)の考え方も含まれている
・民族的マイノリティやエスニック集団などを含めて、多様に受け入れていく考えも
踏まえられている
※民族的マイノリティ集団・・自分の文化の場所に元々住んでいる人のこと
エスニック集団・・自分の出身国を離れて、別の場所にいても、
自分の元々の文化を忘れない人のこと
ポイント
・多文化状況の現状で、民族紛争や積極的な文化の受け入れ、という2つの動きがある
・現在は、異文化の共生のための、異文化の理解が必要だと言われている
・昔の異文化を排除する動きには、自民族中心主義の考え方が流れていると言われているが、
克服が難しいとも言われている
・同化主義は、少数派を尊重しなくなるので、良くないと考えられている
・文化相対主義は、レヴィ=ストロースが提唱し、自民族中心主義や同化主義の
考え方の変換のために生まれた
・多文化主義という考え方が重視されている