民主主義の社会と倫理との関係について
民主主義の社会と倫理との関係について考えてみます
・民主社会と法律や道徳との関係について
・社会での生活を支えるためには、法律や道徳などの様々なルールが存在する
※・法律・・強制力があり、国が罰を与える、という形で人々の行動をコントロールする
・道徳・・強制力はないが、人々の心の面に訴える、
という形で人々の行動をコントロールする
→民主社会は、自分達が直接か、代表に任せるか、という形で法律を作っている
=そのため、民主社会では人々が法律や道徳に自然と従う
・民主社会と現代の状況について
・現代の人々は、周りの人々の行動や考え方を意識して、他人に合わせようとする傾向がある
→このような動きは、自分から行動するという、積極的な態度ではなく、
自分の行動に責任を持たずに、時代の流れに身を任せるだけの態度だと言われている
=このような態度は、差別や偏見を残してしまい、民主社会を否定すると同時に、
独裁を行ったファシズムを支持していることにつながっていると言われている
・上のような状況を分析した人にアドルノという人がいる
・アドルノの考え方について
→アドルノは、ファシズムの時の人々の心理を、権威主義的パーソナリティと名づけた
※権威主義的パーソナリティとは・・
→以下のようなことを指す
・強い人(権力やお金を持っている人)に好かれようとして、弱い人に偉そうにする
・偏見と差別という固定された考え方にとらわれる
・ステレオタイプ(すでに固定化されているイメージのこと)の考え方になる
・人を、内面ではなく、経歴や財産などで判断をする
・人々を信用しないで、モノのように扱う
・理想に向かって努力する人を、冷たい態度を取る
※権威主義的パーソナリティは、リースマンという人が考えた、
他人指向型と同じような傾向があると言われている
・他人指向型・・周りの人達の動きに合わせるように生活するスタイルのこと
→他人指向型は、現代人の心理的な特徴だと言われている
・権威主義的パーソナリティと民主主義パーソナリティについて
・人々は、自分から積極的に動くことや責任を持つことなどを意識して、
社会とつながりつつ生きることが大切
→現在では、他人指向型や、権威主義的パーソナリティの性格を
自分が持っていることを意識して、
このような性格から抜け出すことが大切だと言われている
=抜け出した先にある生き方は、民主主義的パーソナリティだと言われている
※民主主義的パーソナリティとは・・
→以下のようなことを指す
・偏見や差別という固定された考え方にとらわれない
・他人に対して広い心を持ち、物事に対して柔軟な視点で見るような能力を身につける
・他人の親切心を信用して、理想を目指すような努力に対して希望を持ち続ける etc
→民主主義的パーソナリティには、コミュニケーションが関係してくると言われている
・民主主義的パーソナリティとコミュニケーションとの関係について
・民主社会は、民主主義的パーソナリティを持っている人達が
コミュニケーションを行うことで成り立つ
=現在は様々なコミュニケーションが大切だと考えられている
→コミュニケーションについて考えた人にハーバーマスという人がいる
・ハーバマスについて
・ハーバマスは、「対話的理性」が大切だと考えた
→対話的理性・・自分の目的を達成するための手段として相手を考えるのではなく、
お互いの理解を通して、問題を解決するべきだとする考え方のこと
→このようなことを考えた上でのコミュニケーションを、
コミュニケーション的行為と呼ぶ
※対話では、コミュニケーション能力が問題となるが、ちゃんと発言することが出来て、
お互いが自分を理解しようとする努力をすれば何かしらの合意に到達すると考えたため、
ハーバマスは対話的理性を提唱した
・ハーバマスは、対話的理性がスムーズに使われるようにするためには、
アドルノの権威主義的性格から抜け出すことが大切だと考えた
※なぜ権威主義的性格から抜け出す必要があるのか・・
→権威主義的性格は、柔軟性が無く、マイノリティ(少数派)を排除する傾向があり、
対話的理性の邪魔をする可能性があるから
ポイント
・民主社会と法律との関係を考える
・アドルノの考え方と民主主義的パーソナリティの特徴を押さえる
・ハーバーマスの考え方を押さえる