大衆社会について -大衆社会までの流れと他人指向型-
大衆社会について考えてみます
※そもそも大衆社会とは
→政治、経済、文化などの様々な面で大衆が活躍したり重要な役割を果たしたりする社会のこと
・大衆社会になるまでの流れについて
→大衆社会になるまでには、以下のようにいくつかの流れがある
・技術革新
・モノの大量生産は、18世紀後半以降から始まった技術革新(イノベーション)によって
出来るようになったと言われている
・大量生産が出来るようになるまでの流れについて
・昔はモノを作る時は手作業だった
→手作業から、それぞれの生産工程を機械化することになった
・20世紀前半に、それぞれの生産工程をベルトコンベアでつないで、
連続する形で生産する方法が作られた
・20世紀後半に、エレクトロニクス技術(電子を利用した技術のこと)という技術が
発達して、生産工程をコンピュータで管理して、
自動で生産することが出来るようになった
→上のような生産の仕組みの変化が、大量生産を可能にしたと言われている
※戦後の日本経済が成長できたのも、上のような生産技術の変化だと言われている
・組織化と管理社会化
・大量生産が出来るようになると、社会のあらゆる活動が、
組織を作って行われるようになった
→大企業では、経営者という人が出てきて、ピラミッド型のトップに立って、
その下の人達を上手に使い、計画的に組織を動かすことで、
より効率良く会社を回していくことができるようになった
※上のようなスタイルになると、国の行政のように官僚的になると言われている
・官僚的・・合理化や効率を目指すことが組織の目的のようになること
→官僚的になると、大企業で働く人々は、組織を回していくための一人として、
組織によって管理されるようになると言われている
=組織を始めとして、様々な仕組みや情報などに管理されるような社会を、
管理社会と言う
※管理社会になるといくつかの問題が出てくると言われている
→・人間関係が薄くなってしまう
・仕事へ自発的に取り組まないようになる
・事なかれ主義(何事もなく、無事に終わればそれでよい、という考え方のこと)
に陥りやすい
・中産階級の意識
・人々の所得が増えてくると、スーパーマーケットのような大量に商品を売る仕組みが出てきて
耐久消費財(普段の生活で長く使うもののこと:テレビ、自動車、洗濯機、冷蔵庫など)が
一気に普及した
→耐久消費財の普及によって、消費をする生活のスタイルが大きく変わったと言われている
※どのようにスタイルが変わったのか
→耐久消費財が人々の生活をより豊かにするので、
モノが増えることによる幸せを目指すことが一番の目的となった
=この動きによって、多くの人が自分が中産階級である、
という意識を持つようになってきた
※中産階級・・資本家と労働者の中間の階級のこと
→特に、事務職や管理職の人達はホワイトカラーと呼ばれていて、
中産階級の意識が強いと言われている
・ホワイトカラー・・事務職の人達のこと
→逆に、現場で働く人達のことはブルーカラーと言う
・マスメディアの発達
・テレビなどの普及を始めとして、マスメディアが発達してきたと言われている
※マスメディア・・新聞、雑誌、テレビ、ラジオなどのような、
多くの人に情報を発信するメディアのこと
・テレビの普及によって、全員が同じような情報を得ることができるようになり、
画一的な社会になったと言われている
・テレビは、新聞やラジオ以上に影響力を持つようになり、
映像文化の社会が作られるようになったと言われている
※映像文化・・テレビなどの映像によって作りだされた文化のこと
→新聞や雑誌などによって作られた文化を活字文化と言う
※現在は、活字文化以上に映像文化のほうが影響力が強いと言われている
・テレビの普及によって、人々の意識がある程度テレビによって決められているのではないか、
と言われている
・大衆社会
・マスメディアの情報の出し方によって、世論(世間の人々の意見)に影響を与えるようになった
→選挙の情報や、政治家の汚職事件、タレントの熱愛などが
マスメディアに取り上げられることでその政治家やタレントに対する人々の意識が
大きく変わってしまう
=マスメディアの報道次第で、人々の意見をコントロールすることができる可能性がある
=マスメディアによって、政治、経済、文化などに大きな影響を与える可能性がある
=マスメディアが世論に影響を与えるので、世論が政治、経済、文化などに対して
重要な役割を担うことになる
→だから、日本は大衆社会になったと言われている
・リースマンの大衆社会の考え方について
・リースマンという人が、大衆社会の人達の性格を他人指向型と名づけた
※大衆社会以前は、伝統指向型や内部指向型の性格だったとリースマンは考えた
・伝統指向型・・社会の伝統や習慣などに従って生活するスタイルのこと
→近代以前の人々の性格だったと言われている
・内部指向型・・自分の考え方や思いに基づいて生活するスタイルのこと
→近代から大衆社会になるまでの性格だったと言われている
・他人指向型・・周りの人達の動きに合わせるように生活するスタイルのこと
→大衆社会の性格だと言われている
・他人指向型について
→・他人指向型は、マスメディアや様々な産業が作りだす流行によって
作りだされたと考えられている
・他人指向型の人達は、自分の生き方に対して、考え方や思いが無いため、
不安になり、常に他人の動きが気になってしまう
→そのため、他人指向型の人達は、一人一人が孤立しているのに、
個性が無く、他人と同調している
=このような状況を、リースマンは「孤独な群衆」と名づけた
ポイント
・大衆社会までの流れ(技術革新、組織化、管理社会、中産階級、マスメディア)を押さえる
・リースマンの考え方、他人指向型の特徴を押さえる