家族・地域社会の倫理について考える① -核家族とアメニティ・現代の家族の問題点-
家族・地域社会の倫理について考えてみます
・最近の家族のスタイルや役割について
・高度経済成長期以降に・・
→・直系家族(祖父や祖母などと一緒に生活する家族)や
拡大家族(直系家族に、さらにいとこなどとも一緒に生活する家族)が減り、
核家族(夫婦だけ、夫婦と未婚の子ども、父か母と子どもの家族をまとめた
呼び方)が増えた
・小家族化(家族を構成する人数が少なくなること)や少子化が進み、
家族の平均世帯員数が減った
※核家族は、1980年以降に減っているが、単独世帯(一人暮らしのこと)が増えている
→上のように、家族のスタイルが変わっていった理由とその影響
理由
・民法が改正されて、夫婦を中心とした新しい家族制度が成立して
浸透していったからだと言われる
・産業の仕組みのレベルが高くなると同時に、仕組みが複雑かつ難しくなることで、
若い労働者の人たちが地方に親を残して、都市に出てくることが理由の一つだと言われる
=このような動きを都市化と言う
影響
・家族の機能が少なくなっていき、教育を学校に、介護を施設に、などのように、
機能が家族以外の場所で代わりに行われるようになった
=このような動きを、家族機能の外部化と言う
※ただし昔は、家族は元々、社会の一番土台になる
基本的な集団(=第一次集団)だと言われていた
・以上のような状況で、現在では家族に大きく2つの機能があると言われている
・子どもを養育して一人前にする機能(=社会化の機能)
・快適な生活環境(アメニティ)を作って、パーソナリティ(人格)に安定感を与える機能
・現代の家族の課題について
・私達は、モノは増えて豊かになったが、精神的な面で深刻な問題が
出てきていると言われている
例-・親が仕事を重視するあまり、子どもに対して、過保護になったり、
放任主義になってしまったりする
・親が育児をする時に、育児に対してノイローゼになってしまうことがある
・学歴社会で勝つために、小学生など早い段階で塾や家庭教師に大幅に時間を割く
・テレビやパソコンなどのAV機器が増えて、家族のコミュニケーションが減った
・家庭内暴力や子どもの虐待が増えた
・高学歴な女性が増え、多くの女性が社会の様々な分野に出てきたと言われる
→そこで、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法などが作られてきているが、
問題も含まれている
※・男女雇用機会均等法・・会社の採用は昇給など、様々な場面で
男女を平等に扱うことを定めた法律のこと
名前だけで、あまり効果が表れていないと言われている
・育児・介護休業法・・労働者が育児や介護のために休業を取ることで、
会社の中でその人が不利益になるような行動を禁止した法律のこと
この休業は、男性がほとんど活用出来ていない、という現状がある
→このような背景から、「男は仕事、女は家事」という風潮から
日本は抜け出せきれていないともいわれている
※現在では、「男は仕事、女は家事」だけではなく、
男女共働きの風潮も存在している
・現在の日本では、非婚化、晩婚化、子どもを産まない世帯というのが増えている
※非婚化・・結婚しない人が増えてきていること
晩婚化・・結婚する年齢が遅くなっていること
→その結果、生産年齢人口や、合計特殊出生率が低下していると言われている
※生産年齢人口・・労働力の中心となる15~64歳の人たちのこと
合計特殊出生率・・1人の女性が一生のうちに産む子どもの数を示したもの
この数が2であれば、人口は維持されるが、
日本は2を大きく下回っている
ポイント
・都市化などが原因で、拡大家族や直系家族が減り、核家族が増え、家族の平均世帯数が減った
→影響として、家族機能の外部化などがある
・家族は、社会化やパーソナリティに安定を与える、といった機能がある
・今の家族には、子どもの虐待など、精神的な面で多くの問題があると言われている
・男女雇用機会均等法や育児・介護休業法などが生かしきれていなくて、
「男は仕事、女は家事」という空気が続いている
・今の日本では、非婚化や晩婚化が増え、生産年齢人口や合計特殊出生率が低下している