基本的人権の保障について② -自由権とその内容について-
基本的人権において、自由権とその内容を考えてみます
・自由権について
・自由権とは・・
→精神、身体、経済の自由などをまとめた呼び方で、自由の尊重=人間の尊重と考えて、
憲法で保障されている権利のこと
・自由権のそれぞれの内容(精神、身体、経済の自由)について
・精神の自由について
・内容・・思想および良心の自由、信教の自由、集会・結社・表現の自由、学問の自由、
通信の秘密の保障、検閲の禁止などが、精神の自由として扱われる
→これらの内容は、人間の心の面の自由を保障して、
自分の考えを社会に伝える自由が含まれている
・集会、結社の自由について
・集会、結社の自由とは・・社会に自分の考え方を発表する活動を保障する自由のこと
※戦前は治安維持法などで自由が奪われたため、自由を制限するのは
できるだけ減らさなければいけないと考えられている
・信教の自由について
・信教の自由とは・・どの宗教を信じても良いという自由のこと
→信教の自由は、政教分離の原則が必ず関係してくると言われている
※政教分離の原則・・宗教を政治に取り入れてはいけない、という考え方のこと
→戦前は神道が日本の宗教になり、信教の自由が無かったので、
政教分離の原則が重視されたという背景がある
・信教の自由と政教分離の原則には、靖国神社の問題が関係する
※靖国神社問題とは・・靖国神社に、戦争で亡くなった兵士と戦争を指導した人が
一緒に祀られていて、戦死した兵士を重視して参拝するべきか
戦争の指導者が海外に被害を与えたという問題があるので、
海外のことを考えて参拝しないべきか、という問題のこと
この問題は、政教分離の原則や植民地支配なども
問題の論点だと言われている
・身体の自由について
・内容
・奴隷のような拘束や苦役(苦しい労働など)から自由になることを保障する
・罪刑法定主義の原則に基づいて、裁判官が発行した令状が無ければ
現行犯以外の逮捕が出来ないようにした
=このような考え方を令状主義と言う
※罪刑法定主義・・ある行為が犯罪である、ということが規定に無ければ処罰されない
という原則のこと
・捜査の時の拷問や残虐な刑罰を禁止して、もし拷問などである人が自白したとしても、
その自白は証拠として使うことはできないとした
=このような考え方は黙秘権の考え方が強い
※黙秘権・・取り調べや裁判の時に、被告(訴えられた方の人)は黙ったり、
しゃべることを拒否したりすることができる権利のこと
※残虐な刑罰として、死刑制度があり、死刑制度については議論がされている
(日本には死刑制度があるが、国連には死刑廃止条約という条約がある)
→上のような細かいルールが憲法で決められた理由として、逮捕などの時に
人権の侵害の可能性があり、戦前は実際に人権を侵害することも多かった、
ということがあげられる
→そのため、身体の自由の考え方の根底には、適法手続き(デュー・プロセス)という
考え方がある
※適法手続き・・法律の通りに手続きをしなければ、自由を侵害されたり
刑罰を与えられたりしないという考え方のこと
・経済の自由について
・内容・・代表的なものに職業選択の自由と財産権の保障がある
・職業選択の自由について
→職業選択の自由には、職業を実際に行う「営業の自由」という自由も含まれているが、
公共の福祉に反しない限り、という制限、がある
※公共の福祉・・社会全体で共通している幸福や利益のこと
・財産権の保障について
→・財産権の内容は、公共の福祉に反しないように法律で決められている
・自分の財産は、正当な補償の下に、公共のために用いることができる、
というルールがある
→経済の自由は、経済よりも安全や秩序などを維持することのほうが
重要だという考え方から、他の人権に比べて、制限が多い
ポイント
・自由権として主に、精神、身体、経済の自由の保障がある
・精神の自由の内容を押さえ、特に集会・結社の自由と信教の自由の内容に関しては押さえる
・身体の自由の内容を押さえ、細かいところを意識する
・経済の自由の内容を押さえ、経済の自由の制限の部分は注意する