自由貿易と国際分業という考え方について -リカードの比較生産費説とリストの保護貿易-
自由貿易と国際分業について、リカードの比較生産費説を踏まえて考えてみます
・自由貿易と国際分業について
※自由貿易と国際分業には、下のような議論がされたことがある、という前提がある
・一つの国の国内であれば、分業(仕事を分けて、専門性を高めること)が行うほうが、
一人一人が自分の生活の全てをまかなうよりも効率が良く、利益も多い
・一つの国が必要とする財やお金を全て国内の生産だけに任せて賄う
自給自足経済(アウタルキー)が考えられる
・それぞれの国が分業(国際分業)を行って、生産したモノをお互いに交換する経済
(=貿易)が考えられる
→自給自足経済、国際分業と貿易の経済はどちらのほうが各国の利益になるか、
ということが問題になった
→上のような問題に対して、一つの答えを出した人にD.リカードという人がいる
=リカードは、比較生産費説という考え方を提唱した
※比較生産費説とは、どのような考え方なのか
→例えば、以下のような条件が考えられる時・・
・ポルトガルはイギリスと比べた時に、ブドウ酒を布よりも少ない労働力で
作ることができる
・反対に、イギリスはポルトガルと比べた時に、布をブドウ酒よりも少ない労働力で
作ることができる
※このように、他の国と比較して、より有利な条件で商品を作る状況を
比較優位と言う
→このような比較優位が見られた場合・・
・生産費が高いとか安いとかは関係なく、
「ポルトガルはイギリスよりもブドウ酒を作るのが得意だから、
ポルトガルはブドウ酒を作ることを専門的に、」
「イギリスはポルトガルよりも布を作るのが得意だから、
イギリスは布を作ることを専門的に、」
というように、お互いの得意分野に
特化(特定の分野に重点を置くこと、特定化とも言う)して、
自分の得意でない分野のモノは他の国からの輸入に頼ったほうが、
お互いの国が得をして、利益になるということを提示した
=このリカードの考え方を比較生産費説と言う
・今日の分業のスタイルについて
・今日の分業は、水平的分業と垂直的分業の2つのスタイルがあると言われている
・水平的分業・・先進国が、それぞれの国が自分の得意な
工業製品(自動車、エレクトロニクスなど)を
専門的に扱っていくという分業のこと
・垂直的分業・・先進国が工業製品を作り、発展途上国が工業製品の原材料や安い賃金で
働かせることで作られた軽工業品を作るという分業のこと
・リカードとは違う貿易の考え方について
・リカードとは違う考え方を提唱した人として、F.リストという人がいる
→リストは、発展途上国は将来、先進国になる可能性があるから、
保護貿易という貿易を行って、発展途上国の国内の産業を保護することで、
発展途上国が先進国になるための邪魔をしないことが重要であると考えた
※保護貿易・・国内の産業を保護するために、外国の製品をする時に高い関税をかけたり
そもそもに輸入制限をかけたりすること
→保護貿易は、まだ弱かったり小さかったりする産業の保護や育成、
完全雇用を目指す、賃金の水準を維持するという目的が含まれている
ポイント
・自由貿易と国際分業の考え方を押さえる
・リカードの比較生産費説の考え方を特に押さえる
・分業のスタイルを押さえる
・リストの保護貿易の考え方を押さえる
コメント
>他の国と比較して、より有利な条件で商品を作る状況を比較優位と言う
生産性水準の比較対象は自国内の他産業です。
国同士では産業Aと産業Bの労働投入係数(生産性の逆数)の比A/B同士を比べるのが比較優位。
奈菜氏さん
ご指摘ありがとうございます。
もう一度勉強し直して、後ほど内容を修正します。
申し訳ございませんでした。
なるほど