新興工業経済地域とプラザ合意について
新興工業経済地域とプラザ合意について考えてみます
・新興工業経済地域について
・新興工業経済地域(NIES)とは・・速いスピードで工業化を進めて、製品を輸出して、
発展途上国から抜け出そうとする国々、地域のこと
→新興工業経済地域は、1970年代に入って、発展途上国、特にアジアや中南米の
地域から出てきた
=そのため、アジアNIESや中南米NIESなどが代表的
・中南米NIESについて
・中南米NIESの地域では、1980年代に累積債務問題(借金を返しきれないレベルまで
抱えたことによる問題)という問題が出てきた
・累積債務問題の例
・1982年には、メキシコがデフォルト(債務不履行)を宣言した
※デフォルト・・借金を返すのが遅くなったり、返せなくなったりしてしまうこと
・1987年には、ブラジルが中期と長期の債務の利息の支払いを宣言した
→このような問題は、世界の金融システムにまで影響を及ぼした
→この累積債務問題に関しては、お金を貸す側が下のような行動を行うことで、
借りる側を救おうとした
・何度か、新しくお金を貸した
・リスケジューリング(債務返済の繰り延べ、借金の返済を遅らせること)を認めた
・アジアNIESについて
・アジアNIESは、累積債務問題をクリアして、1980年代に入ってから
開発独裁と呼ばれる経済の仕組みを使うことによって、
大きい伸びでの経済成長が続いた
※開発独裁・・国を成長させるために、人々の政治への参加を抑制し、
福祉や自由を後回しにして政府が独自に、経済を成長させることに
重点を置きつつ、急速な発展を目指す仕組みのこと
→しかし、1997年の7月にタイで金融と通貨の不安が出てきて、
通貨危機(通貨に関する危機)という問題が起きた
※通貨危機は、ASEAN(東南アジア諸国の加盟国)の
国々、韓国、台湾などにまで影響を与えた
→そのため、通貨危機によって、今までは著しい経済成長をしていた東アジアや
ASEANの国々は深刻な経済危機の状況になってしまった
・プラザ合意について
・プラザ合意までの流れ
・1981年に、アメリカの大統領になったレーガンという人が、
アメリカの経済と軍事の面を強化しようとした
→そこで、サプライサイド・エコノミクス(供給側に関する経済のこと)や
マネタリズム(市場に経済を委ねるという考え方のこと)などを行って、
「小さな政府」を目指した
=このようなレーガンの政策は、レーガノミックスと呼ばれた
※しかし、軍事の面での支出が増えたので、財政の部分の赤字が増え、
高金利政策を行ったのでドル高になった
→このようなことがあり、1980年代のアメリカは「双子の赤字」になってしまった
=そこで、アメリカ国内では、保護主義という考え方が出てきた
※・双子の赤字・・財政赤字と経常収支の赤字が同時に広がっていくこと
・保護主義・・保護貿易を行っていこうとする考え方のこと
・保護貿易・・輸入するものに関税をかけることで、
国内の商品を守ろうとすること
・アメリカの保護主義の動きに不安を感じた先進国が、
G5(先進5か国財務相・中央銀行総裁会議)が集まった
→この時に、日本、アメリカ、欧米の先進国が、
外国為替市場に協調介入(2か国以上が同じ目的で介入すること)を行って、
ドル高に持って行くことで合意された
=この合意のことをプラザ合意という
→プラザ合意に合わせて、それぞれの国がドルを売ってドル高に持って行った結果、
ドルに対して、円やマルク、フランなどのレートが安くなった
・最近では、G5やG7、主要国首脳会議(サミット)などを行うことで、
それぞれの国の金利や為替相場の調整を行うなどのような、政策の協調を行っている
※G5・・日本、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランスの5カ国のことで、
group of 5 の略称
G7・・G5にイタリアとカナダを加えたもので、
1986年の東京サミットからイタリアとカナダは参加した
G8・・G7にロシアを加えたもの
※サミット:・1975年に、第1回がフランスのランブイエというところで行われ、
第1回以降、年に1回開かれている
・サミットでは、世界の政治や経済のことについて話し合われる
・サミットには、G8とEU委員会というところが参加している
ポイント
・新興工業経済地域、中南米NIES、アジアNIESの動きを押さえる
・プラザ合意までの流れを押さえる
・G5、G7、サミットなどの会議を押さえる