基本的人権について① -基本的人権の概要について-
基本的人権について、大まかな内容をつかむように考えてみます
・基本的人権の傾向について
・基本的人権には、「人権の永久不可侵性」と「公共の福祉」という、
大きく2つの傾向がある
・人権の永久不可侵性について
→基本的人権は、人が生まれながらにして持っている権利なので、
他のものに邪魔されてはいけない
=そのため、基本的人権は「侵すことのできない永久の権利」として
保障されていると言われている
・公共の福祉について
・基本的人権を使う時に、人権を守る権利はあるとしても、
他の人との権利をどのように調整するべきか、という問題が発生する
→その時に、公共の福祉という考え方が使われる
※公共の福祉・・社会全体の利益になるような考えや行動のこと
※公共の福祉の考え方について
・昔、ドイツのナチス政権が、「公共の福祉は個人の利益に優先する」という考え方のもと、
独裁政治を行ってきた
→この例からもわかるように、公共の福祉が、人々の自由や権利を
奪ってしまう可能性がある
→だから、その時と場合で、なぜどのように公共の福祉が使われているかを
考えることが必要だと言われている
・個人の尊重という考え方について
・基本的人権の根本的な考え方として、「個人の尊重」というものがある
※個人の尊重とは・・人は、一人一人が違っていることが当たり前で、
一人ひとりに個性と価値があるから、
周りの人達と同じである必要はない、という考え方のこと
→個人の尊重を重視することが、人権をちゃんと守るための出発点だと言われている
・基本的人権の侵害の問題について
・18世紀の西ヨーロッパで国家権力が、人々の人権を奪っていた
→そこで、憲法で人権を保障することが、国民の権利を守るために大切だと考えられた
=このような考え方が、基本的人権には備わっていると言われている
・現代の社会を見ると、大企業や、大きな組織、団体などが、
国家権力レベルの力を持つようになってきた
→そのため、国の権力ではなく、大企業や大きな組織が人々の人権を
侵害するようになってきた
=結果的に、ヨーロッパでの基本的人権の考え方が、
大企業や大きな組織にも当てはまるようになった
※このような考え方は、私人間における人権保障として考えられるようになった
→その考え方が認められた例として、男女別定年制事件、
認められなかった例として、三菱樹脂事件がある
・男女別定年制事件
→従業員の定年の年齢を男性が55歳、女性が50歳とする企業のルールについて
争われた事件のこと
=最高裁判所は、性別による差別だとして、違法かつ無効とした
・三菱樹脂事件
→三菱樹脂という会社に入社した人が、学生運動をしていた、
などの経歴を隠していたために、採用を拒否されたため、
差別だとして裁判で争われた事件のこと
=1・2審は、入社した人が勝ったが、最高裁判所で、
企業の「雇用の自由」を理由に採用の拒否を認めた
※この事件は、私人間における人権保障が否定された例として、
現在でも批判されている
・国民の義務について
・日本国憲法は、国民の義務を決めていて、日本では3種類が義務として設定されている
→・納税の義務(税金を納める義務)
・子どもに普通教育を受けさせる義務
・勤労の義務
=この3つはまとめて、国民の三大義務と言われている
ポイント
・基本的人権の傾向(人権の永久不可侵性、公共の福祉)を押さえる
・個人の尊重という考え方を押さえる
・基本的人権の侵害に対する問題を押さえる
・国民の義務を押さえる