基本的人権について③ -自由権について考える-
基本的人権の中で、自由権について考えてみます
・自由権について
・自由権とは・・
→精神、身体、経済の自由などをまとめた呼び方で、自由の尊重=人間の尊重と考えて、
憲法で保障されている権利のこと
・自由権のそれぞれの内容(精神、身体、経済の自由)について
・精神の自由について
・内容・・思想および良心の自由、信教の自由、集会・結社・表現の自由、学問の自由、
通信の秘密の保障、検閲の禁止などが、精神の自由として扱われる
→これらの内容は、人間の心の面の自由を保障して、
自分の考えを社会に伝える自由が含まれている
・集会、結社の自由について
・集会、結社の自由とは・・社会に自分の考え方を発表する活動を保障する自由のこと
※戦前は治安維持法などで自由が奪われたため、
自由を制限するのはできるだけ減らさなければいけないと考えられている
・信教の自由について
・信教の自由とは・・どの宗教を信じても良いという自由のこと
→信教の自由は、政教分離の原則が必ず関係してくると言われている
※政教分離の原則・・宗教を政治に取り入れてはいけない、という考え方のこと
→戦前は神道が日本の宗教になり、信教の自由が無かったので、
政教分離の原則が重視されたという背景がある
・信教の自由と政教分離の原則には、靖国神社の問題が関係する
※靖国神社問題とは・・靖国神社に、戦争で亡くなった兵士と戦争を指導した人が
一緒に祀られていて、戦死した兵士を重視して参拝するべきか、
戦争の指導者が海外に被害を与えたという問題があるので、
海外のことを考えて参拝しないべきか、という問題のこと
※この問題は、政教分離の原則や植民地支配なども
問題の論点だと言われている
・身体の自由について
・内容
・奴隷のような拘束や苦役(苦しい労働など)から自由になることを保障する
・罪刑法定主義の原則に基づいて、裁判官が発行した令状が無ければ
現行犯以外の逮捕が出来ないようにした
=このような考え方を令状主義と言う
※罪刑法定主義・・ある行為が犯罪である、ということが規定に無ければ
処罰されないという原則のこと
・捜査の時の拷問や残虐な刑罰を禁止して、もし拷問などである人が自白したとしても
その自白は証拠として使うことはできないとした
=このような考え方は黙秘権の考え方が強い
※黙秘権・・取り調べや裁判の時に、被告(訴えられた方の人)は黙ったり、
しゃべることを拒否したりすることができる権利のこと
※残虐な刑罰として、死刑制度があり、死刑制度については議論がされている
(日本には死刑制度があるが、国連には死刑廃止条約という条約がある)
→上のような細かいルールが憲法で決められた理由として、
逮捕などの時に人権の侵害の可能性があり、
戦前は実際に人権を侵害することも多かった、ということがあげられる
→そのため、身体の自由の考え方の根底には、適法手続き(デュー・プロセス)
という考え方がある
※適法手続き・・法律の通りに手続きをしなければ、
自由を侵害されたり刑罰を与えられたりしないという考え方のこと
→身体の自由は、冤罪(無実の罪)を防ぐためにも、
必ず守らなければいけないと言われている
※冤罪に関して、今日では再審という制度が用意されている
・再審・・裁判で結果が決まった時に、その結果に疑うような内容、証拠などが
出てきたときに、もう一度やり直す制度のこと
→再審の時は特に、「疑わしきは被告人の利益に」という原則を守る必要が
あると言われている
※疑わしきは被告人の利益に・・本当に有罪だという証拠がない限りは
無罪の立場にいるべきであるという考え方のこと
・経済の自由(経済活動の自由)について
・内容・・代表的なものに職業選択の自由と財産権の保障がある
・職業選択の自由について
→職業選択の自由には、職業を実際に行う「営業の自由」という自由も含まれているが
公共の福祉に反しない限り、という制限、がある
※公共の福祉・・社会全体で共通している幸福や利益のこと
・財産権の保障について
→・財産権の内容は、公共の福祉に反しないように法律で決められている
・自分の財産は、正当な補償の下に、公共のために用いることができる、
というルールがある
→経済の自由は、経済よりも安全や秩序、弱者保護などを維持することのほうが
重要だという考え方から、他の人権に比べて、制限が多い
※実際に安全や秩序、弱い人達の保護を権利として扱ったものに、
社会権というものがある
ポイント
・自由権の概要を押さえる
・精神の自由の基本的な考え方や内容を押さえる
・身体の自由の基本的な考え方や内容を押さえる
・経済の自由の基本的な考え方や内容を押さえる