江戸時代初期の鎖国政策と禁教政策について
江戸時代初期の鎖国政策について考えてみます
・鎖国政策について
※そもそも、なぜ鎖国政策を取るようになったのか
→理由として、大きく2つある
・キリスト教を禁止するという、禁教政策を行いたかった
・幕府が貿易での利益を独占するために、貿易によって利益を得ている西側の大名が
強くなることを制限したかった
・禁教政策について
※なぜ徳川幕府は禁教政策を取ろうとしたのか
・徳川幕府は、最初はキリスト教を気にしていなかった
→しかし、以下の2つの不安が考えられるようになり、禁教政策を取った
・キリスト教が普及することで、スペインとポルトガルに
侵略されてしまうかもしれない
・キリスト教の信者が信仰を理由にして団結してしまう可能性がある
・このような理由から、徳川幕府は1612年に、直轄領に禁教令という法律を出した
→1613年には、禁教令を全国に適応させ、キリスト教の信者に宗教を変えることを
強制させた
・禁教令を出した後に、幕府は宣教師やキリスト教の信者に対して
処刑や国外の追放などといった迫害を行った
→この状況を知って、ほとんどのキリスト教の信者は改宗したが、
一部のキリスト教信者が改宗しないで、
殉教(宗教の信仰のために命をかけること)をするという行動を取った
※当時の迫害で代表的なものが2つある
・1614年に高山右近など約300人をマニラとマカオに追放した
・1622年に長崎で、宣教師や信徒など55人が処刑された
=1622年の処刑の出来事を、元和の大殉教という
・幕府の貿易での利益の独占について
※徳川幕府は、西側の大名の利益の増大を恐れて、
貿易を幕府がコントロールできる状態にまでした
・そこで、1616年に中国船以外の外国船が立ち寄れる港を、
平戸と長崎だけに限定した
・1624年にスペイン船が日本に来ることを禁止した
※この時、イギリスがオランダとの競争に負けたため、1623年に商館を閉じた
・1633年に奉書船以外が海外に渡航することを禁止した
※奉書船・・朱印状以外に、老中奉書という許可状をもらっている船のこと
・1635年に日本人が海外に渡航することと、外国にいる日本人の帰国を禁止した
・1635年に中国船が寄ることが出来る港を、長崎だけに限った
※そのため、中国との国交を回復することを諦めて、長崎で中国との私貿易を
行うだけになった
→このような状況の中で、1637年に島原の乱という乱が起きた
※島原の乱とは・・
・当時飢饉が起きていて苦しかった状況の中で、島原城の城主だった松倉氏と
天草領の領主だった寺沢氏が自分の土地の領民に厳しい年貢を要求した
・さらに、松倉氏と寺沢氏がキリスト教の信者をおさえつけた
→この2つに、土豪と百姓が一揆を起こすことで抵抗した
=この出来事を島原の乱という
※なぜ、キリスト教の信者をおさえつけたことが、一揆につながる理由の
一つになったのか
・島原半島と天草島という場所は、昔はキリシタン大名の有馬晴信と小西行長の
領地だった
=そのため、島原と天草にはキリスト教の信者が多かった
※島原の乱はどうなったのか
・一揆を起こした側は、益田(天草四郎)時貞という人をトップにおいて、
原城の跡に立てこもった
→そこで、幕府が九州の大名を使って約12万人の兵力を集めた
=その結果、1638年に一揆が収まった
・1639年にポルトガル船の来航を禁止した
・1641年に、平戸にあったオランダの商館を長崎の出島という場所に移して、
オランダ人と日本人の自由な交流を禁止した
※オランダ人と日本人との交流については、長崎奉行が監視することになった
→以上の動きによって、日本は鎖国の状態になった
※ドイツ人の医師だったケンペルという人は、「日本誌」という本で、
日本はオランダとしか交渉していないため、閉ざされた状態である、
ということを指摘した
→1801年にオランダ語の通訳者だった志筑忠雄という人が
「日本誌」の一部を訳して、「鎖国論」と名づけた
・鎖国によって、日本はどのような状態になったのか
・鎖国の状態から約200年間は、オランダ、朝鮮、中国、琉球王国以外の国との
交流を行わなくなった
・鎖国によって、幕府が貿易を全て幕府だけでコントロールできるようになった
・文化や経済など、外国からの影響が制限されることになった
・国内でのキリスト教の禁止が徹底された
→以上のようなことによって、幕府が国をコントロールする力がより強化されていった
※なぜ、幕府は鎖国を行うことができたのか
→当時の日本は、外国との交流が無くても十分やっていくことができたからだと
言われている
ポイント
・鎖国政策の概要を押さえる
・禁教政策を押さえる
・幕府の貿易での利益の独占についてと鎖国までの流れを押さえる
・鎖国による日本への影響と、鎖国ができた理由を押さえる
このあたりが今回のポイントです