江戸時代の商業と貨幣と金融について
江戸時代の商業と貨幣と金融について考えてみます
・当時の商業について
・当時の商業では、近世の初期に、京都、堺、長崎、博多などを拠点とした
力のあった商人が活躍した
→この時期の商人は、朱印船貿易を行ったり、交通が整っていない状況での
地域による商品の価格差を使って、自分の船や蔵で大量の資金を得たりすることで
巨大な富を作っていた
=このようにして稼いでいた人達を、初期豪商という
※初期豪商で代表的な人に、京都の角倉了以や茶屋四郎次郎、
摂津平野の末吉孫左衛門、堺の今井宗薫などが有名
※ただし、鎖国政策によって海外との貿易が制限されたこと、
日本の陸上と海上の交通が発達したことによって
初期豪商は急激に力を失っていった
・17世紀の後半に、三都や城下町で問屋が商業と流通をコントロールするようになった
※問屋・・各地からの商品の受託(頼まれて商品を預かること)と
仕入れを独占する業者のこと
→問屋は業種ごとに仲間や組合という同業者の団体を作って、
仲間掟という独自の法を決めることで、営業権を独占しようとした
※江戸と大阪では、江戸と大阪の間の荷物の運送の安全と流通の独占を目指して、
問屋仲間が集まって組織を作った
=この組織を、江戸では十組問屋、大阪では二十四問屋という
※問屋の支配のもとで、仲買という業者が出てきた
・仲買・・他の場所の商人や小売商人への卸売りを独占した業者のこと
・徳川幕府は、最初は仲間を認めていなかった
→しかし、18世紀以降に商品の流通の支配と物価の政策のために、
運上や冥加という営業税を負担することで仲間を認め、
営業の独占を認めるようになっていった
=この時の営業の独占権を株、株を持つ仲間を株仲間という
・小売商人という人が出てきた
→小売商人は、店を持たないで販売したため、振売や棒手振などと呼ばれた
※小売商人・・問屋や仲買に従う形で、消費者に様々な商品を販売する業者のこと
振売・・商品を担いで、物の名前を言いながら売り歩く人のこと
棒手振・・魚や野菜を、てんびん棒でかついで売り歩く人のこと
→小売商人としての仕事は、都市や都市の近くの人々にとって重要な仕事の一つだった
・貨幣と金融について
・江戸時代の初めは、同じ基準の金と銀の貨幣が全国で使われた
→この貨幣は、徳川家康が1600年ころから、金座と銀座で作らせた
慶長金銀だったと言われている
※金座と銀座について
・金座について
→・金座とは・・金貨を作るための施設のこと
・金座は、江戸と京都に設置された
・後藤庄三郎という人がトップに立ち、小判や一分金などと呼ばれる
計数貨幣という金貨を作った
・銀座について
→・銀座とは・・銀貨を作るための施設のこと
・銀座は、伏見と駿府に置かれ、その後江戸と京都に移された
・丁銀や豆板銀などと呼ばれる秤量貨幣という銀貨を作った
→金座と銀座は、最終的に江戸に統一された
・近世の初めは、銭貨という貨幣が出回っていた
→銭貨は、中国銭だった永楽銭という銭貨がまだ大量に出回っていた
=その時は、永楽銭1貫文=金1両という交換比率にすることで、
貨幣による混乱を防いでいた
・寛永期に、江戸と近江坂本に銭座という銭貨を作るための施設を作った
=その時に、寛永通宝という銭貨を大量に作り、銭貨を普及させた
→結果的に、三貨(金、銀、銭)が全国に普及し、三貨が商品の流通の発展を
支えたと言われている
※当時の金貨、銀貨、銭貨の単位
・金貨-両、分、朱 ・銀貨-貫、匁、分、厘、毛 ・銭貨-貫、文
※当時の換算率は、金1両=銭4貫文=銀60匁という比率だったが、
実際は相場によって比率に変わった
※東日本では主に金貨が取り引きの中心とされ、西日本では主に銀貨が
取り引きの中心とされた
=上のような、東日本のスタイルを金遣い、西日本のスタイルを銀遣いという
・17世紀の後半から、それぞれの藩では城下町を中心とした藩の経済を
行うところが出てきた
→そのような場所では、藩札という貨幣が領内で流通した
→さらに、商人が発行する小さい額の私札が出回る地域も出てきた
=藩札や私札が出てきたことで、三貨の不足や藩の財政の足りない部分を
補ったと言われている
・当時の貨幣は、三都やそれぞれの城下町にいた両替商という人達によって
流通が促された
※両替商・・三貨を両替したり、重さを量ったりすることを
商売にした業種の人達のこと
※大坂や江戸には、本両替という有力な両替商がいた
→本両替は、両替商の仕事に加えて、国のお金の出納や為替、貸付などの業務を
一緒に行うことで、幕府や藩の財政を支える役割を果たしたと言われている
※両替商として有名な施設に以下のようなものがある
・三井高利という人が三都で呉服店と一緒に始めた両替店
・江戸の三谷、鹿島屋など
・大坂の天王寺屋、平野屋、鴻池など
ポイント
・当時の商業について考えてみます
・当時の貨幣と金融について考えてみます
このあたりが今回のポイントです