仏教の展開-部派と大乗について
仏教の展開として、部派仏教と大乗仏教について紹介します
・仏教が展開した形として、部派仏教と大乗仏教がある
・部派仏教について
・部派仏教の流れ
①仏教教団(仏教の宗教団体のこと)が作られ、
教団は男性の出家者(比丘/びく)と女性の出家者(比丘尼/びくに)、
男性の在家信者(優婆塞/うばそく)と女性の在家信者(優婆夷/うばい)の
四衆(4種類)で出来ていて、
出家者と在家信者が互いに助け合う関係が生まれた
※出家者と在家信者とは・・
・出家者-全てを捨て、解脱のために修行をし、すぐれた教えを知り、
その教えを在家信者に説明することで、
在家信者の役に立つことを行った人のこと
・在家信者-三帰五戒を守りながら普段の生活を行い、
出家者の衣食住の世話をした人のこと
※三帰五戒の内容
・三帰-三宝(仏、その教え「法」、それをつつしんで行う教団「僧」)を
頼みとして信仰すること
・五戒-不殺生(殺生をしない)、不偸盗(盗みをしない)、不妄語(嘘を言わない)、
不邪淫(婚姻外性交をしない)、不飲酒(酒を飲まない)の5つを
まとめたもののこと
②ブッダ入滅後(ブッダが死んだ後)、教団が教えの解釈をめぐって、
保守的な上座部と進歩的な大衆部とに分裂した
③上座部と大衆部の中でも分裂が起き、最終的に20くらいの部派が誕生した
→このような変化があった時代の仏教を部派仏教と言う
・大乗仏教
・進歩的な大衆部が革新運動を起こしたことで、大乗仏教が生まれた
・大乗仏教について
・大乗仏教は、ブッダの慈悲の精神を強調する中で生まれた
=慈悲の強調は、利他(他人の利益)のための行動が無ければ、
自利(自分の利益)はあり得ない
→要は、出家者は自分の解脱に集中しすぎて在家信者を軽視していると考えた
→・そのため、阿羅漢を理想として、自利(=自己救済)を目指す仏教を小乗仏教と呼んだ
(小乗仏教は、上座部の仏教のことであり、大乗に対し、「劣っている」という意味で
小乗と呼んだ)
・反対に、大乗仏教はブッダを理想として利他に励み、
一切衆生の救済をするものと考えた
※阿羅漢-・出家者(声聞/しょうもん)の到達する最高の位こと
・羅漢とも称され、決して阿羅漢という名前の人がいるわけではない
・大乗仏教と上座部仏教の違いの一つに菩薩(「ブッダとなる資格を持つ者」)の
理解の違いがある
・上座部-菩薩の道はガウタマのみの道で、ガウタマしか菩薩になれない
だから、人々は修行によって阿羅漢になる
・大乗-ブッダになることを目指す菩薩の道は全ての人に開かれている
・大乗仏教の思想について
→・全ての生命あるものにブッダとなる可能性を認めた=「一切衆生悉有仏性」
・発心さえすれば、誰でも仏になれる=「即身成仏」
などの思想がはぐくまれた
→それ以外の大乗仏教の有名な思想として・・
・竜樹(ナーガールジュナ)の空の思想:全ての存在には固定的な変化の基盤はない
=無自性とした思想のこと
(これは、縁起説を発展させたもの
と言われている)
・世親(ヴァスバンドゥ)の唯識思想:物事は実在しないが、それらが実在する
という心の働き(=識)の結果として
物事は存在している、と考える思想のこと
※注意すること
→仏教は厳しい現実を見ることで、苦しみについて考え、
苦しみや辛さから脱出できると考えた
=そのため、生を苦と捉えるのは実は消極的ではない
ポイント
・部派仏教のスタートとして、仏教教団が作られ、
出家者と在家信者が互いに助け合う関係が生まれた
※出家者、在家信者、三帰五戒の内容は抑える
・ブッダが入滅した後、上座部と大衆部に分かれ、それぞれの中で分裂が起きた
→これらの時代の仏教を部派仏教と言う
・大乗仏教は、出家者が在家信者を軽視していると考えた
・阿羅漢を理想として、自利を目指す仏教を小乗仏教と呼んだ
・大乗仏教の思想として、一切衆生悉有仏性や即身成仏がある
・その他に、竜樹の空の思想、世親の唯識思想がある
・仏教で、生を苦と捉えることは、実は消極的ではない