国際社会の仕組みについて -勢力均衡・集団安全保障・国際連盟・国際連合・安全保障理事会-
国際社会の仕組みについて考えてみます
※勢力均衡と国際社会が考えられるようになった背景
→国際社会の安全を保障するために、国際法以外を使った方法が
必要だと考えられるようになった
・勢力均衡について
・勢力均衡は、17世紀から19世紀までのヨーロッパで生まれて発展していった
・勢力均衡とは・・国家の力を同じにすることで、異常に力の強い国家から
侵略されることを防ぐ、という考え方のこと
例:AとBの国が同盟を結んで力をつけたので、AとBが有利にならないように、
CとDの国が同盟を結んだ
※しかし、現実では他の国よりも少しでも大きな力をつけようとして、
軍隊や兵器などを増やしていこうとする動きが出てくる可能性があり、
逆に戦争を引き起こす原因になったこともあった
=このように、自分の安全のために軍備を増やすと、
相手も軍備を増やして逆に危険な可能性がある状態を安全保障のジレンマという
・集団安全保障について
・集団安全保障は、第一次世界大戦後に生まれた考え方だった
・集団安全保障とは・・戦争を違法と考えて、集団安全保障に参加している国家の中で、
戦争などを行う国家が出てきた時、集団安全保障に参加している
他の全ての国が、戦争などを行う国家に罰を加える
という考え方のこと
※集団安全保障は最初に国際連盟が使った
・国際連盟について
・国際連盟とは・・アメリカのウィルソン大統領という人が
平和14カ条というものを発表した
→平和14カ条を土台に、1919年に第一次世界大戦の
パリ講和会議で作られた国際平和機関のこと
※平和14カ条では、秘密外交(国民に教えないで、政府だけでやる外交)の禁止や
民族自決の原則などを提唱した
・国際連盟規約(国際連盟で決めた規則)の内容
→・紛争の平和的解決の原則(紛争をおだやかに解決すること)
・国際紛争の軍事的解決の禁止(国際紛争は軍事などの戦力を使って
止めることをしてはいけない)
・国際連盟の構成
・総会・・加盟している全ての国によって構成される組織のこと
・理事会・・戦争で勝った国などによって構成される組織のこと
・事務局・・国際連盟の行政に関する事務を行うための組織のこと
※国際連盟には、常設国際司法裁判所という施設が作られた
・国際連盟の開始と失敗について
・国際連盟は1920年にスタートした、史上初の国際機構だった
・国際連盟は、国際紛争の解決に対して、十分に効果を発揮することができなかった
・国際連盟が国際紛争の解決に貢献できなかった理由
・総会や理事会での会議の時に、全会一致の方式が使われていたので、
より良い決定をすることができなかった
※全会一致・・全員が賛成をすることで、その意見が採用される方式のこと
・連盟で決められた内容の強制力があまり強くなかった
→強制力が弱かった理由・・加盟国に対して、行動を取るように言うだけで、
侵略をした国に対しては、経済制裁(経済的な罰)しか
できなかったから
・世界の力のある大きな国は、連盟を推していたわけではなく、
国際連盟自体が不安定だった
→・アメリカ・・国際連盟に加盟しなかった
・ソ連・・1934年に加入
・日本、ドイツ、イタリア・・1930年代にどんどん抜けて行った
→このような理由があって、国際連盟は第二次世界大戦を防ぐことが
できなかったと言われている
・国際連合について
※国際機関が平和と安全を守るという考え方は、第二次世界大戦後に国際連合という機関で
改めて考えられるようになった
・国際連合の土台と背景
・国際連合の土台→アメリカとイギリスによって発表された大西洋憲章というものが
土台になった
※1944年のダンバートン・オークス会議という会議の後に、
国際連合を実際に作る動きが進んでいった
→その後、1945年にサンフランシスコ会議という会議で、
国連憲章(国連での憲法のようなもので、根本的なルールのこと)が考えられ、
1945年10月に国際連合が作られた
※最初の国際連合の加盟国は51カ国だった
・国際連合の目的と存在する委員会について
・国際連合は、様々な面から、国際問題を解決したり国どうしでの協力を
促したりすることが目的だと言われている
→このような目的の達成のために様々な機関が作られるようになった
・機関の例・・総会、安全保障理事会、経済社会理事会、信託統治理事会、
国際司法理事会、事務局などがある
※これ以外に、多くの問題を解決するための専門機関や専門委員会などもある
※事務局について
・国際連合の事務局のトップを国連事務総長と言い、
国連事務総長は、安全保障理事会の意見を土台にして、総会で決められる
※任期は決められてはいないが、歴史的には5年となっていて、
再任(もう一度選ばれること)も可能
・安全保障理事会は、最も強い権限を持っていて、
国際の平和と安全の維持を行う責任を持っている
・安全保障理事会について
・安全保障理事会の構成
→常任理事国(アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国の5カ国)と、
国際連合の総会で選ばれた非常任理事国(任期が2年で、10カ国が選ばれる)で
構成される
・安全保障理事会に関する手続きの内容については、9か国以上の賛成で決定となる
・それ以外の内容(実質事項と言う)については、常任理事国が拒否権を持っていて、
常任理事国のうち1カ国でも反対をした場合は、賛成とならず、決定もされない
=このようなルールを、大国一致の原則と言う
→以上のようなルールがあるので、常任理事国どうしの間で対立やケンカがあると、
安全保障理事会は様々なことを決めるのが難しくなり、安全保障理事会の力が
極端に小さくなってしまう
※実際に、冷戦の時はアメリカとソ連が対立していたので、拒否権が何回も使われ、
安全保障理事会が上手に機能していなかった
・安全保障理事会が拒否権を使うことで、上手に機能しない時は・・
→総会が、国際の平和と安全のための集団的措置を加盟国に呼びかけることができる
=このような仕組みを、「平和のための結集」決議と言う
※「平和のための結集」決議で集団的措置を呼び掛けるには、
総会で3分の2以上の賛成を得る必要がある
※集団的措置・・平和や安全を破壊した国があった場合、他の国が様々な方法を使って、
平和や安全の維持の方向へ持って行くこと
→総会は、通常の会期じゃない時でも、緊急特別総会という名前のもとで
会議を行う事が出来る
・経済社会理事会について
・経済社会理事会とは・・総会の権力の下で、様々な機関と連携を取りながら、
国際的な取り組みをする機関のこと
※経済社会理事会と連携する機関の例
→世界保健機構(WHO)、国際労働機関(ILO)、
国連教育科学文化機関(UNESCO)、国際通貨基金(IMF)など
ポイント
・勢力均衡と集団安全保障の考え方をおさえる
・国際連盟の歴史、背景、内容、構成、問題点、仕組みなどを押さえる
・国際連合の歴史、背景、内容、構成、問題点、仕組みなどを押さえる
・安全保障理事会の仕組みや問題点を押さえる
このあたりが今回のポイントです