農業について -現状と歴史-
日本の農業について考えてみます
・日本の農業の現状について
・高度経済成長が進むにつれて、日本経済の中での農業の比率がどんどん下がっていった
→その結果として、2005年の時のデータを見ると・・
・GDPに占める農業生産額の割合は、1.0%だった
・農業を行っている人は、職業に就いている人全体の中で、4.0%だった
・農業の家の数は、専業農家と第1種兼業農家が急激に少なくなり、
第2種兼業農家は一次的にちょっと増えたが、1980年代以降から、また少なくなっている
※・専業農家・・農業だけを行う農家のこと
・兼業農家・・農業と、それ以外で収入を得る農家のこと
・第1種兼業農家・・兼業農家のうち、農業を中心としている農家のこと
・第2種兼業農家・・兼業農家のうち、農業以外を中心としている農家のこと
・農業の歴史について
・農業の歴史の中で、重要な出来事として、農地改革と食糧管理制度が出来たことが挙げられる
・戦後に農地改革(農地に関して様々なルールを設けた改革のこと)という改革が行われた
※農地改革について
・農地改革によって、地主が小作に土地を貸して、小作が土地代を地主に払う
という関係が無くなり、政府が地主から買った土地を小作に安く売ったので、
小作が自分の土地を持つことができるようになった
→結果的に自作農(自分の土地で農業をする人)を生み出して、
農家の所得を平等にすることができた
→しかし、小規模農家に頼るという、日本の農業のスタイルを
変えることはできなかった
※この時に、地主制(地主が小作に土地を貸す制度)が復活することを恐れて、
農地法という法律を作った
=この法律で、農地に関して様々な規制がかかったため、
農家はより一層小規模な農家になっていった
・上のような動きの中で高度経済成長期に突入したため、
農業と工業の間の生産性と所得の格差が大きくなってしまった
→そこで、農業と工業の格差を縮めて、農業を工業に負けないくらい大きくするために、
1961年に農業基本法という法律が作られた
※農業基本法・・農業の経営規模の拡大、機械化による生産性の向上などを
めざすための法律のこと
(日本政府は、農業基本法を土台にして、
農業基本法農政ということを展開した)
→農業基本法農政の結果、1970年代の半ばごろまでに、農業の生産性が上がり、
農業と工業の間の生産性の格差がある程度縮まった
※格差の縮小の原因は、農業に機械を取り入れたことと、技術革新だった
→経営規模が大きくなったことが原因ではなかった
・食糧管理制度について
・食糧管理制度・・需要と供給を安定したものに保つため、主要食糧(コメや麦など)に
関しては、国が価格などをコントロールして、
自由に市場で売買されることに制限をかけた制度のこと
→この制度は1942年の食糧管理法という法律で決められた
※食糧管理制度は、消費者のためというよりも、生産者を保護するため、
という目的で作られた
→そのため、生産者米価(政府がコメを作る農家から買う時の金額)が非常に高くなった
=結果的に、コメを作る人達の利益が増え、コメ農業から他の農業へ移ることが
難しくなってしまった
→生産者の保護は、コメ以外の農産物も行うようになった
=具体的な行動として、政府は農家に補助金を多く払った
※しかし、補助金は農業を活発にすることはできず、
逆に農家の自立の邪魔をする結果となってしまった
・農業基本法農政について
・農業基本法農政は、農業に関する考え方の土台が無く、政策がくるくる変わっていった
=そのため、このような行政を「猫の目行政」と言われることがあった
→上のような農政の問題点を改善するために、政府は1999年に新農業基本法を作った
※新農業基本法・・食料の安定供給、農業の持続的な開発、農村の振興
の3つを目標にする法律のこと
(正しくは、「食料・農業・農村基本法」と言う)