ローマの生活と文化について
ローマの生活と文化について考えてみます
・ローマの生活と文化について
・ローマ人は、精神の文化と実用的文化への対応が違った
→・精神文化・・ローマ人はギリシアのマネで終わってしまった
・実用的文化・・ギリシアから学んだ知識を帝国の支配に応用する文化については
優れた能力を見せた
※ローマの素晴らしいところは、帝国の支配を通して、地中海世界の様々なところに
ギリシア・ローマの古典文化を広めたことにある
→ギリシア・ローマ時代は、「古典古代」とも呼ばれる
※ギリシア・ローマ文化が広まった具体的な例
・ローマ字がヨーロッパの多くの言語で使われている
・ローマ人が話したラテン語は、近代になるまで
教会や学術の国際的な公用語だった
・ローマの実用的な文化は、土木・建築技術の面で典型的に
表現されたと言われている
→都市には、浴場、闘技場、凱旋門、道路、水道橋などが作られた
※今日まで残る遺物として、コロッセウム(円形闘技場)、パンテオン(万神殿)、
アッピア街道などがある
・都市のローマには、約100万人の人々が住んでいた
→そのため、ローマでは楽しい、快楽的な都市文化が盛んになっていった
※当時のローマの下層民は、「パンと見世物」を楽しみに生きていた
=・パン・・有力な政治家が恩恵として配給する穀物に頼って生活していた
・見世物・・闘技場での見世物で歓声を上げていた
・ローマの実用的文化が後世に最も大きな影響を与えたローマの文化遺産は、
ローマ法という法律だった
※ローマが様々な習慣を持つ多くの民族を支配するようになると、
全員が納得する普遍的な法律が必要になってきた
→ローマ法は、十二表法をベースにして作られ、
最初はローマ市民だけに適用されていた
→その後、ヘレニズム思想の影響を受けて、帝国に住む全ての人々に
適用される万民法に変わっていった
=当時の万民法の集大成は、6世紀に東ローマ帝国のユスティニアヌス大帝が
トリボニアヌスなどの法学者を集めて編纂させた
「ローマ法大全」というものだと言われている
※ヘレニズムのストア派哲学では、法律は宇宙の支配原理である
自然の法則にもとづくべきだと言われている
→ローマ法は中世や近代にも受け継がれ、今日のわれわれの生活にも
深い影響を与えていると言われている
・現在使われているグレゴリウス暦は、カエサルが作ったユリウス暦から
作られたものであると言われている
・ローマ人は、文芸や学問の分野ではギリシア人の独創性を超えられなかったが、
以下のようなことがあった
→・アウグストゥスの時代はラテン文学の黄金期だと言われている
※しかし、アウグストゥスの時代に活躍したウェルギリウスなどの作品は、
ギリシア文学の影響が強い
・散文では、カエサルの「ガリア戦記」という作品が名文だと言われている
・ギリシアで始まった弁論術はローマでも発達し、
ローマ最大の弁論家と言われるキケロという人を生み出した
・歴史記述の分野では、リウィウスの「ローマ史」やタキトゥスの「年代記」などが有名
※リウィウスやタキトゥス以外にも、以下のような歴史書や地理誌が有名
→・政体循環史観という考え方で有名なポリビオスの「歴史」
・ギリシア・ローマの英雄的な人物の生涯をえがいたプルタルコスの「対比列伝」
・当時の段階で知られていた全世界の地誌を記述したストラボンの「地理誌」 など
・哲学の分野では、当時はストア派哲学の影響が強く、以下の人達が有名
→・セネカの「幸福論」やエピクテトスが考えた道徳哲学は、上流階層に広がっていった
・皇帝のマルクス=アウレリウス=アントニヌスはストア派哲学者としても有名だった
・自然科学の分野では、以下のような人達が活躍した
→・プリニウスという人が百科全書的な知識の集大成として「博物誌」を書いた
・プトレマイオスという人が「天文学大全」を書き、天動説を提唱した
※天動説・・地球は止まっていて、地球の周りを様々な天体が回っている
という説のこと
→天動説は、イスラーム世界を通って中世ヨーロッパに伝わり、
長い間西欧人の宇宙観を支配した
・ローマ人の宗教は、ギリシアと同じで多神教だった
→帝政期の民衆のあいだではミトラ教やマニ教など
東方から伝わった神秘的な宗教が流行した
=そのような状況の中で最終的に勝ち残って国家宗教の地位を獲得したのが
キリスト教だった
・ローマ帝政の末期には、エウセビオスやアウグスティヌスなどの教父と呼ばれる
キリスト教の思想家たちが正統教義の確立のために努力していた
→この動きは、のちの神学の発展に貢献した
ポイント
・ローマの生活と文化についておさえる
このあたりが今回のポイントです